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 いよいよ3回目です。この記事は、パラグライダーに関してよくありがちな疑問やお悩みを解決して頂くためのきっかけ作りを目指しています。いまのところ、パラグライダーのライズアップを取り上げています。前回では準備の重要性についてのお話でした。パラグライダーのセットアップのことですね。技術的には、上手になろうと思うのは素晴らしいことです。ちょっと堅い話になると思うのですが、パラグライダーの準備はプレフライトチェックという非常に重要なプロセスを含みます。パラグライダーは離陸すると引き返すことは出来ません。先日もレスキューパラシュートのピンが外れたままテイクオフを始めようとしているパイロットを見かけました。まずは、落ち着いてしっかりと準備をすることが大切です。本題に入りましょう。今日はパラグライダーが傾いてしまったら?そんな状況についての考察です。

パラグライダーが傾いたときはどうすればいいの?


 パラグライダーがライズアップの動作中に傾くことは好くあることです。そしてその傾きが上手に修正できない人が多いのもよく見かけます。なかには、修正の動作が追いつかず、ドタバタしているだけ、最後には片側のパラグライダーがつぶれたまま離陸してしまう、そんな状況もよく見かけます。思い出して下さい。パラグライダーの練習をしていた頃のこと。盛んに傾いたときの対処についてインストラクターにあれやこれや、うるさくいわれたのではないでしょうか?現在ではこのようなトレーニングの前段階で必ず行うトレーニングがあります。それは「止まる」練習です。それはパラグライダーが傾く原因の一つにラインが絡まっている可能性があるからです。

パラグライダーが傾いたら止まるべきだ!


 タイトルそのままですが、パラグライダーが傾いたら止まるべきだ。これでは、肩すかしもいいところだ!そんな思いを抱かれた方もいると思うのですが、少し説明をさせて下さい。最近のパラグライダーは軽量化と高性能化のバランスが高次元で保たれ、しかも取り扱いは容易です。いいことずくめですね。それらのパラグライダーに見られる共通の構造は、ラインが少ないということです。AからDまで4列あるグライダーはほとんど見られなくなってきました。さらに、ラインのカスケード(枝分かれのことですよ)も複雑になっています。これはラインの総延長を少なくするためだと思われます。これらの構造はパラグライダーの性能を飛躍的に向上させることは間違いないと思うのですが、ライン一本あたりの荷重が増加していることも、間違いありません。つまり、ライン一本がパラグライダーの空力的な非行特性に与える影響も増大していると思って間違いないでしょう。ちょっとしたラインの結びがパラグライダーのフォルム全体の変形につながるようになってきています。
 完全なパラグライダーはまだ存在しない。 これは間違いないことで、だからこそ運用の方法や注意するべき箇所も、時代の流れによって変わっていくのです。

パラグライダーのライズアップを停止させるには?


 振り返りますが、ライズアップを「パラグライダーが確実に離陸するための準備が整った段階」と定義しました。パラグライダーの教科書ではこの段階のことを「頭上安定」としています。ここを過ぎると離陸するための揚力を得るため人は加速し、パラグライダーに十分は空気の流速を与えようとします。この段階で停止することは非常に難しいと断言できます。速度が出ていることで停止に時間がかかります。また一般的にパラグライダーの離陸場は離陸しやすいようにだんだんと傾斜が大きくなるように作られています。これも止まりにくい原因となります。さらに、揚力が増大する傾向にある状態のパラグライダーは、ブレークコードを引き込んで迎え角を増大することで揚力がますます増加し、不用意に浮かされてしまうことになります。したがって、パラグライダーのライズアップを停止させるのはなるべく早い段階が良いことになります。
 パラグライダーが翼として機能する前、空気のインフレーションの段階でやめてしまった方がいいと思います。最初のライザーテンションを感知して、あがらない?そう感じたらライズアップは中止してしまいましょう。僕も最初のテンションからインフレーションを感じるまでの感覚で停止を判断しています。傾きを修正しようとする段階の前ですね。意外にあっさりとやめてしまっていますよ。かっこ悪い?いいえ!素早くライズアップを停止させるのはとてもかっこいいと思います。パラグライダーを感覚で捉えているエキスパートの動作です。なんでもかんでもライズアップしてドタバタ修正してあたふた離陸しているよりはるかに美しい動作です。それに、人が近くにいるところでパラグライダーを落とした方がすぐに広げてもらえるでしょう!ドタバタしたあげく斜面の下の方でパラグライダーを斜面横の木に引っかけてしまうよりは、さっさと人の近くでライズアップをやめて広げ直してもらいましょう。それが今回の僕からの提案でした。「ライズアップはやめてしまってかまわない」そんな風に割り切ってしまうと、離陸時に感じるプレッシャーも幾分軽くなるのではないでしょうか?さて、そんな幾分軽くなった心理状態で、シャープな感覚でパラグライダーを感知し、適切な運動を要求されるのがパラグライダーのライズアップ時の傾きの修正動作です。随分難しそうですね。傾いたらどうしよう?そんなプレッシャーにがちがちになっていてはおぼつかないのが傾きの修正動作です。そうです。ライズアップをやめてやり直すことに比較するとパラグライダーの傾きの修正動作ははるかに難易度があがります。次回はここをテーマにしたいと思います。

パラグライダーの傾き修正は人生の修正ぐらい難しい?


 そうはいってもやっている人いるよねー!きれいにパラグライダーの傾きを修正して、何事も無かったかのように頭上でグライダーを安定させて、確実に目視して、憎たらしいぐらい落ち着いて、嫌みなぐらいゆっくりと必要なだけ加速していくパイロットが!どうしてなんだー!ちょっと落ち着きましょうか。僕が書いたテキストを一読しただけでそんな風にパラグライダーのテイクオフが出来るのなら、それはもう講習では無くて催眠術か黒魔術です。まずは傾いたパラグライダーについてよく知りましょう。必要な動作とそのタイミングを知りましょう。そしてここは教科書にも載っていないポイントですが、なぜ修正動作が苦手な人が多いのかを改めて考えてみることにしましょう。それではまた次回。今回もご一読ありがとうございました。