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b9_1GIN ブーメラン9のサイズMに4月12日と4月16日にグランボレでフライトしました。装備重量が95-115圓寮瀋蠅如∩漢備98圓らいで乗っていたと思います。装備重量からいうと軽めですですが、現在はMサイズがEN認証のDクラスにパスして販売されていますが、ほかのサイズはまだのようです。ブーメランには2,4,5,6と乗り続けているので、設計思想は理解しているつもりです。

(ブーメランの歴史)
<ブーメランは1998年に発表されたGINグライダー社の最初のグライダーで、EDEL社で設計をしていたジン・セクソン氏がコンペグライダーの流れを受け継いで、ブーメラン1,2,3とコンペシーンで人気のあるグライダーをデザインしていきました。アスペクト6.2ほどのブーメランの特長はサーマルでの浮きが良く、ハンドリングが感覚的にわかりやすい翼でした。これは、ジン氏がEDEL時代から続けてきた、設計思想といえます。

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ブーメラン1

ブーメランに革新が起こったのは2005年のブーメラン4からでしょう。当時、アーチ比率を高くしてハイアスペクトを実現する、ハイアーチコンセプトがアドバンス社のロベール・グラハム氏によって開発され、GINのブーメラン4はアスペクト6.9でやはりこの技術が投入されました。そして、ブーメラン5,6と3列ラインになりアスペクト7.4、ライン取り付けのテンションに対応するナイロンロッドを入れることで、高速化、高滑空比を実現していきました。

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ブーメラン4

その後、コンペシーンでは2009年にOZONE社のBBHPP(Baby High Performance Project)にはじまり、マントラR10、R11など2列ラインで7.55のハイアスペクトな高性能機が表彰台を独占するようになってきました。ブーメランは7,8はアスペクト8.0を実現しながらも、苦戦を強いられる時代になりました。しかし、2列ラインで性能競争が激化した結果、2列ラインを乗りこなせないことによる事故も相次ぎ、2011年から公式大会ではENテストの認証機のみとするルールとなり、ブーメランXは3列ラインにもどり、アスペクトも6.87と安全マージンを確保したものとなりました。

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Ozone マントラ
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ブーメラン7

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ブーメラン8

しかしOZONEのENZOがアスペクト7.55でEN認証のDクラスにパスすると、コンペシーンの流れは、ふたたびOZONE社の優勢になりました。ENZOはEN認証機でありながら、事実上の2列ラインでA、Bラインしかありません。コラップスが必要なEN認証をどうやって通過するのかというと、リーディングエッジにコラップス専用のラインを取り付けて、コラップスのテストを行うのです。このコラップスラインをどのように取り付けるか、ABの2列ラインとはいえ、上部に枝分かれしたラインをつけるなどして、EN認証を通過するグライダー設計が可能になったようです。

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Ozone ENZO

 ブーメラン9はこのような状況の中、2013年春にEN認証のDクラスを通過する形で、コンペグライダーとして発表されました。GINは長年、ジン・セクソン氏自身のアイデアでグライダーを設計してきましたが、今回は翼断面形状の設計をイギリス・オックスフォード大学のエイドリアン・トーマス氏などに委託しました。その結果、EPT(内圧最適化テクノロジー)と呼ばれる、断面形状の設計技術が誕生しました。この技術により、ブーメラン9はサーマルの中で迎え角が変化しても、内圧が変化しにくい断面形状を獲得しました。

ブーメラン9はPWCでも高性能を発揮し活躍し始めているところを見ると、OZONEの独占状態だったコンペシーンにGINが満を持して投入したグライダーと言えるでしょう。しかし、PWCなどの公式競技では2015年からアスペクト7以上のグライダーは参加できないことが決定し、ブーメラン9やENZOは2014年末まではその性能を発揮して、戦えるという条件が付くことになりました。今後は、競技会ではアスペクト7以下となるわけですが、ブーメラン9がどこまでその高性能を発揮するか楽しみです。

(ブーメラン9の試乗フィーリング)
 ブーメラン9を広げてみると、2列ラインに高いアスペクト、そして上下面に配置された長いナイロンロッドで、見るからに高性能を狙ったコンペグライダーという感じをうけます。岩村は最近までブーメラン6に乗っており、ブーメラン7、ブーメランXなどは見たことしかありませんが、これまでのブーメランに比べてドルフィンノーズと呼ばれるエアインテークの形状など明らかに違う感じがします。

立ち上げの際は、Aラインが翼端側2本と翼中央側2本に分かれているうちの、翼中央側2本のみを握るようにします。アスペクトが高く、ラインが2列しかないので、風が左右で乱れていたりして、片側からグライダーが上がり始めると、バランスをとるのが非常に難しくなります。テストパイロットの扇沢さんも言われていましたが、トリムのセッティングとしては迎え角を大き目にしている感じで、横風で立ち上げたりするとグライダーが前に走らず頭上の一歩手前で止まる感じになることがあります。あまりシューティングしない感じと言えます。また、風が乱れているときはかなり立ち上げにくくなります。

しかし、フライトを始めるとグライダーのフィーリングは一変します。グライダーがサーマルを受けた後の動きはこれまでのグライダーにはない、センセーションを感じます。グライダーがサーマルを受けてピッチアップし、そこからサーチの動きをしながら驚くほどの上昇エネルギーに変化していくのです。これは、GINがブーメラン4のころから繰り返し言及していた、サーマルをバイトする、サーマルの上昇エネルギーを大きくとらえる特性を実現しているといえますが、ブーメラン9の場合2列ラインの空気抵抗の少なさ、EPTシステムなどの浮きの良さがそれを増大させていると考えられます。このあたりは、オゾンにはない特性というべきで、オゾンはどちらかというとスピードと安定性重視でサーマルでの揺れが少なく、サーマルを突き抜けていくようなイメージです。

ブーメラン9のターン特性は、同じGINから発表されたBクラスのアトラスに似通ったものがあります。ハイアーチのためか、ブレーク操作だけでもロールがスムーズにかかり、希望のタイミングでロールインすることができます。もちろん、体重移動をしたほうが旋回がスムーズですし、ハイアスペクトなので体重移動を内側にいれておかないと、ラインのテンションが抜けそうになる場面もあります。サーマルの中で翼端は少し緩みがちですが、ブーメラン4によくあったような翼端がつぶれてクラバットをおこすことはほとんどありません。

サーマルの中での旋回は、前述のようにロールインがスムーズに入っていくので、バンクを維持するためのコントロールだけを注意しておけば、センタリングもスムーズに続いていきます。ただ、アスペクトが高いためか左右の翼が上昇率の違いでロールの揺れを起こすことがあります。体重移動を内側にいれておけば、はじかれたりピッチアップすることはほとんどありませんが、揺れが多少気になるかなと感じました。やはり、アスペクトが高く、翼の揚力が強いのでサーマルの乱れを拾ってしまうのかなという感触でした。

ブーメラン9でアクセルバーを踏むと、2本しかないライザーのうちAライザーの長さが変化し、高度をほとんど沈下させることなく前進速度が速くなってきます。滑空比があまり変化しないままに、スピードを出せる感じです。

降下手段は、翼端折りは翼をつぶすことはできるものの、内圧で翼が回復しようとするために、つぶしたまま維持はできない感じでした。スパイラルをして高度を落とすのが、降下手段ではもっとも有効だと感じました。

ランディングは浮が良い分、ランディングで伸びやすく、スピードが速い分、広い空域を使って高度処理し、ランディングで伸びすぎないようにアプローチをしっかりとる必要があります。ターンやスピードコントロールはしやすいのですが、やはりスピードがあって失速速度も速い分、高めに入ると処理が難しくなります。

結論として、ブーメラン9は非常に精密につくられた高性能機ですが、やはり競技用のグライダーであり、一般の方がフライトするにはかなり負荷の高いグライダーだと思います。以前のブーメラン5やブーメラン6などは競技用とはいえ、サンデーフライヤーでもさほど難しい技術は要求されませんでした。今回のブーメラン9は、翼のつぶれにくさなどはしっかりしているものの、テイクオフやランディングの難しさを考えると、決して気軽に飛べるグライダーとは言えません。どちらかというとセールプレーンのように最初から最後までしっかりしたフライトプランを立て、コンディションを最大限生かすことを考えながらフライトするソアリングマシーンだと感じました。

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岩村アングルからみたブーメラン9
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GIN Boomerang9 試乗レポート         
5月17日 岩村