メンター3はオーストリアの老舗メーカー、NOVA社からメンター2の後継機として発表されました。NOVA社はオーストリアのチロル地方でアルプスの恵まれたロケーションを生かして、マヌーバー特性に優れたグライダーを生み出しています。また、デザイナーのハーネス・パペシュ氏は業界では早い段階からコンピューター設計を導入し、1995年にはゼノン、X10などというコンペグライダーで世界の競技シーンをリードしていました。

 ところがNOVA社は1999年のクリプトンを最後に、競技会からは退いて一般市場に適合したシリアルグライダーの開発に専念するようになりました。この分野でもNOVAのコンピューター設計技術が実力を発揮し、NOVA社はファクターやメンターといったシリアルグライダーの最先端を行く路線を開発してきました。

 NOVA社の設計で面白いところは、翼の基本形ができると、そのアスペクトを変化させることによって、初級機から上級機まで速いペースで開発してしまいます。メンターに対するファクターなどがその好例と言えます。これは、上記のコンピューター設計の巧みさと、恵まれたエリア環境を生かして優秀なテストパイロットたちがチームワークを行っているためと考えられます。岩村も2006年にNOVA社を来訪した際に、そのパイロットたちのフライト技術の高さに驚いたことを覚えています。

 メンター3は昨今の2列、3列といったライン抵抗を減らして一段上の性能を狙うという業界の傾向の中で、一般ユーザーにも乗りやすいグライダーを作ってきたNOVA社がどのあたりを狙ってきたのか、試金石となるグライダーだと思います。

(メンターの実際の試乗)
 メンター3の構造をみてみますと、最近出てきた技術に沿って EN-Bクラスでも3列ラインにしてライン抵抗を減らし、リーディングエッジにナイロンロッドを入れることによって、断面型の形成とピッチの安定を出していることが見て取れます。ラインやライザーは細く、有害抵抗を減らそうという努力がわかりますが、意外なほどアスペクト比は低めに抑えられており、安心感のある形状です。

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岩村アングル Mentor 3 その

 今回岩村が試乗させてもらったのは、メンター3のMサイズで90〜110圓梁僚泥譽鵐犬93圓らいの軽めで試乗しました。メンター3は立ち上げの感じが素直で、同じクラスのグラジェントのネバダに比べると、手ごたえもわかりやすく癖のない感じです。岩村としてはGINのアトラスも好きなフィーリングですが、アトラスのほうが慣れないパイロットだとシューティングしやすいようです。

 メンター3は前作のメンター2に比べると、生地が軽くなったせいか立ち上がりも軽く感じます。ラインも少ないので、最初は少し心もとない感じがしますが、過度にシューティングすることもなく、かといって頭上の手前で止まりすぎることもないので、ちょうどよくグラハンしやすい感じです。アスペクト比も3.94と低めに抑えられているので、傾いたりしても容易に修正できます。

 フライトしてみると、もっとも驚いたのはターンのハンドリングです。以外なほど軽くロールインし旋回に入っていきます。逆にいえばこのクラスにしてはずいぶん軽いなという印象です。これは、平面形のアーチを高めに設計していることなどが影響していると思われます。前作のメンター2よりもこのあたりは、軽いハンドリングだと感じました。ロールインは軽く入り、ローリングした時は思ったよりもバンクがかかったりします。かといって、翼が軽いためか揺り返しで変な挙動に入ることはほとんどありません。

 滑空比や滑空速度もよいので、上級機とほとんど変わらないフィーリングで早い段階からサーマルソアリングに入ることができます。逆にいえば、スピードが速くゆっくり飛ぶ感じではないので、Aクラスからステップアップした人は難しく感じるかもしれません。グラジェントのネバダもそうですが、スピードは早めなので、もう少しゆっくり飛びたいという方は、NIVUKのHOOK3、NOVAのION2などがよいかもしれません。

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岩村アングル Mentor 3 その

 ランディングは前述のようにスピードが早めなので、遠めからスピードコントロールして長いアプローチをとる必要があります。しかし、低アスペクトのためかスタンディングをとって、スピードコントロールすれば滑空比もかなり低下させることができるので、ランディングアプローチ自体はさほど難しくありません。

 全体としてみると、メンター3はCクラスに近いスピードと滑空性能、コントロール性を実現していますが、かなり安心して乗りやすいグライダーだと感じました。NOVA社らしい、マヌーバー特性の安定感もありますが、全体としてヒューマンエラーを防ぐように、細部にわたって考慮されていると感じました。気になる点としては、やはりスピードが少し早目なので、Aクラスからステップアップする人には、ランディングなどが少し難しく感じるかもしれません。このあたりは、ほかのBクラスのグライダーも似たような性能になってきましたが、アプローチを長めにとれるようにランディング技術は見直す必要があるかと思います。

メンター3試乗レポート    2013.5.24岩村