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岩村インプレッション、今回は OZONE社の「ANTI-G」です。

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(ANTI-Gとは)
OZONE社のANTI-Gはドラッグシュートによく似た作りですが、基本的にはスパイラルの際のGを軽減するために設計されています。最近の2ライナーなど高性能化したグライダーでは特に翼端折りが実施しにくく、スパイラルをしてもかなりのGがかかるまで実用的な降下速度を達成できません。ANTI-Gはこのスパイラル時のGを軽減するため、抵抗を増やして滑空比を落としていると考えられます。

(使用方法)
 ANTI-Gはまずセッティングとして、ブライダルコードの末端をハーネスの片側のカラビナに接続します。ANTI-G本体と余ったブライダルコードはフロントコンテナなど収納しやすく、取り出しやすい場所に収納しておきます。使用する際は、フロントコンテナに収納した本体を接続したカラビナの後方に投げる形で開いていきます。
 ANTI-Gが開くと、抵抗により少しピッチングしたり体が多少揺れたりしますので、乱流の中では少し注意が必要です。スパイラルに入れる際は、ANTI-Gを接続した側にスパイラルを入れます。ANTI-Gを接続した反対方向にスパイラルを入れようとすると抵抗で旋回に入りにくくなります。スパイラル旋回中は抵抗がかかるためか、あまりGがかからず降下することができます。実際にブーメラン9などでも、降下しづらいコンディションの時はすばやく降りることができます。ただし、翼端折りと違い、一度使うとまた収納するのは困難です。

 スパイラルで十分降下できたら、ANTI-Gのキルラインを引いてANTI-Gの面積を小さくつぶします。キルラインはブライダルコードの中ほどについており、これをカラビナの方向に引いて、マジックテープで固定することでANTI-Gは小さくつぶれた状態のまま抵抗を小さくすることができます。通常ランディングでは、ANTI-Gをつぶした状態でアプローチしますが、マジックテープがはがれたりしてANTI-Gが再び開く場合もあるので、注意が必要です。

(ANTI-Gでの抵抗の発生)
 ANTI-Gを開いた場合、直径1mほどのパラシュートが開くことになるので、言ってみれば流線形でない抵抗体が片側のカラビナを後方へ引っ張ることになります。この抵抗は、パイロットがポッドハーネスからスタンディングを取った時に生じる、形状抗力の増大と同種のものです。また、ハンググライダーで使われるドラッグシュートはランディング時の滑空比を小さくするために使われますが、構造や原理もほとんど同じです。

 OZONE社はANTI-Gの使用説明書の中で、ANTI-Gをランディングの滑空比を小さくするためのものではないと言明しています。それと同時に、スパイラル降下した後にANTI-Gを開いたままランディングすることもできると述べています。上記の理由は不明ですが、ANTI-Gをランディングに多用した場合、いくつかのリスクは考えられます。例えば、ANTI-Gは長いのでランディング周辺の樹木などに引っ掛かる可能性、ANTI-Gで開いた時と閉じたときは滑空比が違うので、急に開くとランディングに届かなくなり、逆に急に破断するとランディングをオーバーする可能性があります。

(ANTI-Gを開いた状態でのランディング)
 ブーメラン9やいくつかのグライダーで試してみた結果としては、ANTI-Gを開いた状態でのランディングは大きなリスクは感じませんが、上記のようなさまざまなリスクを想定しておく必要はあります。ANTI-Gをつかうときは、スパイラルで降下してそのままランディングという状況が多いでしょうから、キルラインを引く余裕がない場合も考えて開いたままのランディングを練習しておくことをお勧めします。 
 つまり、キルラインを引けば本来の滑空比に近づくわけですが、キルラインを引く余裕がなかったり、引いてもマジックテープが外れて開いた場合、滑空比が小さくなるのでその状態も一度は練習しておくべきだと考えます。また、高性能なグライダーの場合ランディングの滑空比が小さいほうが、ランディングはやりやすくなるはずです。結果的には、ハングのドラッグシュート同じような使い方ですが、上記のように道具が増えることがそれによるリスクも増えるので、それらを理解した上で、少しずつチャレンジすることをお勧めします。

岩村誠