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岩村インプレッション、注目のシングルサーフェース、ADRENALINE社「 BATLITE」です。

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(BATLITEとは)
 BATLITEはスペインの新興メーカーであるADRENALINE社で製造された、軽量シングルサーフェイスグライダーです。シングルサーフェイスとは、キャノピーの上面とリブの一部しかなく、下面の生地がないパラグライダーです。パラグライダーはエアインテークから入った空気のラム圧で翼の形を維持しているという概念からすると、非常に不思議な構造をしています。

(シングルサーフェイスの特徴)
 シングルサーフェイスはその構造から、軽くシンプルで立ち上がりやすいという特徴があります。シングルサーフェイスの似た例としては、ハンググライダーのシングルサーフェイスやパラシュートのロガロタイプがあります。原理として考えれば翼は翼型と迎え角ができていれば、揚力を発生するのでシングルサーフェイスでも問題ないと考えられます。

(BATLITE1.8の試乗レポート)
 今回はBATLITE1.8のMサイズで投影19.6屬忙郛茲靴泙靴拭H行重量は85〜100圓箸覆辰討い泙垢、試乗した際は85堋度の装備重量です。BATLITEをまず広げてみるとシングルサーフェイスとはいえ、リーディングエッジにナイロンロッドが入って、前縁の丸い形を形成し、生地はとても軽量であることがわかります。

 BATLITEの立ち上げは非常に軽く、フロントライザーを持たなくても前に進んでライザーに荷重をかければ軽快に立ち上がってきます。その後は特にシューティング傾向もなく、立ち上げとしては非常にイージーと言えます。ただ、注意点としては簡単に立ち上がる分、風が強いときはグライダーが風をはらむと勝手に立ち上がってしまう可能性があります。
 立ち上げからテイクオフに移るときも、動きとしては非常にスムーズですが、空気抵抗が大きいためか、緩い斜面ではなかなか浮きづらく、浮いてあまり前に進まずに降りてきます。これは、シングルサーフェイスで空気抵抗が大きいため滑空比が小さくなっているためと考えられます。実際に三峰山からフライトすると、向かい風のためか滑空比で2.5のランディングまでようやく届く感じで、400mの高低差でテイクオフして1卆茲離薀鵐妊ング到達時の対地高度は50mほどでした。試しに、アクセルを踏んだりブレーク操作をしてもあまり滑空比は変わらないので、向かい風の滑空比は特に注意する必要があります。
 旋回やブレーク操作のフィーリングはいたって普通で、特別な技術は必要としませんが、失速の際のストロークはやや短く、ブレークの重さもあまり変化しないので、少し注意が必要です。翼のフィーリングもラム圧のある機体と違い、妙にやわらかい揺れを起こしたり、スピードの加速感が違うので注意が必要です。

(シングルサーフェイスの用途)
 シングルサーフェイスは軽く立ち上がりも良いので、ハイクアップなどの用途には向いていると考えます。ただ、抵抗が大きく滑空比は小さいのでランディングまでの距離が遠い場合は、注意が必要です。
 シングルサーフェイスの立ち上がりの良さを生かして、体験講習や初心者講習に生かしている例は国内でも聞くようになりました。フロントライザーを持たなくても立ち上がり、頭上安定も簡単なので、体験講習で風が弱い時や平地からトーイングをする時などに適しているようです。スクールの中には、通常のパラグライダーの下面を切り取ってシングルサーフェイスに改造しているとこもあるようです。もちろん改造機の場合は、ENの安全基準をクリアしていないことになりますので、使用には十分な注意が必要です。岩村も試みに、改造したシングルサーフェイスを試してみましたが、立ち上がりは少し軽くなりますが、製品のBATLITEほどの安定性は得られませんでした。

(BATLITEのまとめ)
 BATLITEはシングルサーフェイスという構造上、軽く立ち上がりがよいという長所があります、反面で空気抵抗が大きいため滑空比が小さいという短所があります。体験講習で立ち上げを簡単にして、早い段階でフライト感覚を味わってもらうなどの用途には適していると考えられます。軽くてハイクアップにも使用しやすいので、山岳フライトにも適していますが、上記のようにランディングまでの滑空比についてはしっかり計算し、緊急ランディングを考えておく必要があります。

 全体としてみるとBATLITEはシングルサーフェイスの特徴を生かして、立ち上がりが軽くイージーなところに最大の特徴があり、体験講習やトーイング、ハイクアップなどに向いています。特に体験講習やトーイングの分野ではこれからの可能性で期待できます。

岩村誠