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注目のハイエンド EN-B クラス、GIN 「CARRERA」 。岩村インプレッションをお届けします。

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(GIN CARRERAとは)
 GIN社のCARRERA:カレラは、GINグライダーがEN-Bクラスのアトラスの上に位置するハイエンドEN-Bグライダーとしてリリースしました。GINグライダーはブーメラン9から翼型の設計を一新し、EPTシステムというラム圧を一定に保つ翼型を取り入れることによって、滑空性能と翼の安定性の両立を図っています。ブーメラン9が2013年の春にリリースされ、カレラは2013年初頭からEN-Cを目指して開発に入っていたようですが、ブーメラン9とは少し違う翼型を取り入れることで、抜群の滑空性能と飛行安定性を手に入れ、2013年秋にEN-Bでのリリースとなりました。

GIN ATLAS:実測アスペクト 5.21

GIN ATLAS:実測アスペクト 5.21

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GIN ブーメラン9:実測アスペクト 7.75



(GIN CARRELAの構造)
 カレラの構造を見ると、実測アスペクト6.2で投影アスペクト4.75とEN-Bクラスとは思えないほどの、アスペクト比に驚きます。リーディングエッジにはドルフィンノーズと呼ばれる段差のあるエアインテーク部が特徴的です。
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GIN カレラ:実測アスペクト 6.2


ラインはケブラーの被覆なしのコンペラインが大部分で、この点でもEN-Bの中級グライダーというよりは、クロスカントリーなどを目指したソアリングマシーンという感じがします。
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GIN カレラのライザー


 ラインの配列は基本的には3列ラインになっており、Cラインがライン取り付け位置で少し前後に枝分かれしているものの、ほとんど純然とした3列の配置です。これらを見ても同じEN-Bクラスのアトラスよりも、実測アスペクト比6.99で設計されたブーメランX-ALPSに似ていると考えられます。GIN社のテストパイロットである扇澤さんのお話では、カレラの開発段階で使われた翼型の性能が良く、それを応用して作られたのがブーメランX-ALPSだということで、やはりよく似ているようです。

(CARRERAのテストレポート)
 カレラを広げてみると、生地がしっかりしていてずっしりと重めの翼という感触です。これは、同じEN-BのハイエンドクラスでもNOVAのメンター3やグラディエントのネバダの軽い感じとは、少し異なる感じです。 今回試乗したカレラはMサイズで85〜105圓料備重量の中で、98堋度で試乗しました。
 カレラの立ち上げは、アスペクトがありグライダー重量もあるので、わりとずっしりと手ごたえがあります。特にライザーシステムがやや複雑で、Aライザーのテンションを感じにくいので、ライザーの持ち方は少し注意が必要です。形状形成から立ち上がり始めると、アスペクトが大きい割にはスムーズにグライダーが立ち上がり、頭上安定から傾きの修正も比較的容易にできます。

 テイクオフのフィーリングは特に加速する感じでもなく、かといってBクラスにありがちな頭上より後ろに停滞するような感じでもありません。設計者のジン・セクソン氏もインタビューの中でしきりに、グライダーがパイロットと一緒に動いてくれるといっていましたが、ピッチ安定が抜群で特にピッチアップやピッチダウンすることなく、スムーズにグライダーが加速からテイクオフに入ってくれる感じです。
 カレラのフライトは、これだけのアスペクトで浮きが良くコントロール性もよい割には、扱いやすく穏やかなグライダーという感じでした。アスペクトの大きい高性能機は、旋回や立ち上げが難しくなる傾向がありますが、カレラは立ち上げが少し重めに感じるくらいで、ほかの挙動はBクラスらしくとても穏やかに感じます。旋回はスムーズで減速する感じも加速する感じもあまりなく、この点でもBクラスらしい扱いやすさを持っているといえます。

テストパイロットの扇澤さんも言及されていますが、カレラはコラップスの反応は非常に穏やかです。片翼をつぶしても、旋回に入る挙動もゆっくりで回復も最近のグライダーにありがちな反動を伴うこともなく、翼端がゆっくりと回復する形で大きな反動もなく回復します。

 高性能なグライダーの課題となるのは、ランディングですがカレラの場合は滑空比が高い割に低速をきかせることができ、スピードがのっていく感じあまりないので、比較的容易にアプローチできます。この点でもCクラスのアスペン4などにくらべると、アクセスしやすい乗り味にできています。

(CARRERA試乗のまとめ)
 カレラはアスペクトや滑空性能で見ると、明らかに今までのBクラスとは一線を画しており、滑空性能はほぼCクラスと考えた方がよさそうです。逆にCクラスとしてみれば、グラディエントのアスペン4やNIVIUKのARTIK3、OZONEのDELTA2などに比べても、同等レベルの滑空性能を持ちながら、扱いの簡単さという部分ではカレラの方が優れていると思います。グラディエントのアスペン4などは特に3列ラインになったためか、ピッチ安定のリズムが独特になり、ある程度スピードをつけて乗らないと、滑空性能を引き出しにくいように感じます。

 カレラはこのような点ではとてもオートマチックで乗りやすいグライダーと言えます。ピッチ安定が適切で、加速しすぎたり、減速しすぎることがないように感じます。これはグライダーコントロールには有利な安定性で、Bクラスらしい乗りやすさと言えます。アスペクトのある高性能機は旋回の加速や減速によって、旋回が難しくなることがよくあるからです。

考えてみれば、OZONEのBBHPPから始まった前縁にバテンを入れて、ライン本数を減らす手法は、オートマチックノーズと呼ばれる独特のピッチ安定をもたらすようになりました。このオートマチックノーズはパラグライダー業界に革新をもたらし、それとともにどのようクラス分けにするかという試行錯誤をもたらすことになりました。

 GINのカレラはこの意味でも、オートマチックノーズのグライダーは今まで以上の安定性と操作性を与えるという証明であると思います。今回のカレラがBクラスに参入したことで、BクラスやCクラスにはまた新たな化学変化が起こってくると予想されます。ここからの業界の技術革新も楽しみです。

*GIN CARRRA 扇澤さんの動画はコチラ

岩村誠