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いつの間にやららすっかり普及した「ポッドハーネス」。
皆様、ポッドにするか悩んだり、ポッドハーネスにしてみたもののこれまで乗っていたスタンダード・ハーネスとの違いに悩んだりしていませんか?

今回の岩村インプレッションは、アドバンス・インプレス3。
ちょっと気合いをいれて、製品のインプレッションだけでなく、ハーネスの歴史から、ポッドハーネスの総論的な特性からご紹介。

インプレス3の購入を検討されている方だけでなく、ハーネスにお悩みの方は是非ご一読ください。


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    アドバンス・インプレス3
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    アドバンス・インプレス3



(ハーネスとポッドハーネスの歴史)

 ポッドハーネスはパイロットの形状抗力を減少させるために、体を流線形に近づけることが、まず開発の目的でした。1999年ごろに開発されたウッディバレー社のX-RATEDを皮切りに、ポッドハーネスは競技パイロットがより高い滑空性能を引き出すために使用し始めました。ポッドハーネスで空気抵抗を軽減することで、パイロットの形状抗力がより流線形に近づき、滑空比と滑空速度が10〜20%程度向上すると考えられていました。

 しかしながら、ポッドハーネスの難点としてはパイロットが足を伸ばして操縦しているため、パイロットが大きな体重移動をしにくかったり、ライザーに対してツイストを起こす可能性が高まるという短所がありました。また、離着陸の時には足を出したり入れたりするという手間もあり、上級者用の滑空性能を求めるためのハーネスと考えられていました。

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    1985年のグライダーとハーネス
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    1988年のグライダーとハーネス



ハーネスは本来、パラグライダーの操縦のためにパイロットの体を保持し、快適に操縦できるように着座姿勢を安定させると同時に、グライダーの動きを感じ取り、体重移動も使って操縦できるように、絶妙の重心バランスを求められます。1988年ごろにパラグライダーが始まった当初は、スカイダイビングのパラシュートを使っていたこともあり、ハーネスに座板のない、スカイダイビングのハーネスに近いものを使っていました。しかし、このハーネスでは長時間飛ぶと、パイロットの体が疲労しやすく、体重移動もほとんどできないものでした。

その後、座板の入ったハーネスが発売されはじめ、座板を左右に傾けることによって、体重移動ができるようになり、また座板に着座することによって、パイロットは長時間のフライトでも比較的楽になりました。また、1992年ごろスープエアー社などのよって、脊椎保護プロテクションのついたハーネスが販売されるようになりました。着座姿勢でハードランディングをすることによって、脊椎を圧迫骨折するなどの事故が続き、これを防ぐ目的で背中からお尻にかけて、スポンジやエアバックなどのクッション材を装着するようになってきました。これによって圧迫骨折の事例はかなり減少しましたが、エアバッグなどによってハーネスが大きくなり空気抵抗が大きくなったことも否定できません。

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    ハンググライダーのハーネス
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    ウッディーバレー・X−RATED6


ハンググライダーの世界では、1980年代からすでにコクーンハーネスといって、うつぶせの姿勢で下半身を寝袋状のハーネスの中に入れるハーネスが一般的でした。パラグライダーにもこういった、流線型に近いハーネスを作る動きは1997年ごろから少しずつありましたが、はっきりとポッドハーネスの形に定着したのは、1999年のウッディーバレー社のX-RATEDからでしょう。ハンググライダーのハーネスは、ファスナーを開け閉めして下半身を出し入れするのに対し、パラグライダーのポッドハーネスはファスナーがなく、パイロットがコントロールから手を離すことなく足の出し入れができるようになりました。

(ポッドハーネスの操作性と特性)

 ポッドハーネスの利点は空気抵抗を減らすことによって、滑空性能を向上させることができること、体重移動に足の力を使うことができること、下半身がおおわれて体温が保持できることなどがあります。足の力で体重移動ができるというのは、フットバーのあるハーネスも同じですが、体重をかける側の足を踏み出すと、そちら側のベルトが引っ張られてカラビナの位置がさがり、よりスムーズに体重移動ができます。

 座板のみで体重移動をする場合、旋回外側の太ももを少し持ち上げ、内側の太ももを押し下げるようにして、腹筋を上手に使う必要が出てきます。このため、サーマルのなかでの旋回でGがかかっているときなど、旋回内側にうまく体重移動ができず、旋回外側に体重移動がはじかれてしまう場合が見受けられます。この体重移動が旋回外側にはじかれる対策として、体重を内側に預けるようにしっかりと体重移動をする、あるいはABSをきかせて、体重移動で大きく傾かないようにするなどの方法があります。ABSとはアンチバランスシステムのことで、体重移動の大きな傾きをベルトで制限するシステムです。

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    アエロタクト ヤイカルハーネス
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    アエロタクト エキスパートハーネス


前者の体重を内側に預けるための方法として、フットバーやポッドハーネスでは足を使って内側に体重を預けるきっかけを作ることができます。座板のみでフットバーなどを持たないハーネスの場合、体重移動をどの程度かけるかという調整をどうしても腹筋と体幹の筋力でコントロールすることになります。この点、フットバーやポッドのあるハーネスでは、体重移動の調整を左右の足の力でサポートすることができます。

フットバーやポッドの操作も注意が必要で、これらは左右のカラビナにベルトで接続されているため、両足に力が入りすぎて両足を踏ん張ってしまうと両方のカラビナにつながるベルトにテンションがかかって、ABSがきいた形になり体重移動としては中立になります。そのため、しっかりとした体重移動をかけるには片側の足を踏み出し、片側の足は緩める必要があります。その上で、座板や上半身も使って体重移動するとよりしっかりとした体重移動ができます。

前者の体重を内側に預けるための方法として、フットバーやポッドハーネスでは足を使って内側に体重を預けるきっかけを作ることができます。座板のみでフットバーなどを持たないハーネスの場合、体重移動をどの程度かけるかという調整をどうしても腹筋と体幹の筋力でコントロールすることになります。この点、フットバーやポッドのあるハーネスでは、体重移動の調整を左右の足の力でサポートすることができます。

フットバーやポッドの操作も注意が必要で、これらは左右のカラビナにベルトで接続されているため、両足に力が入りすぎて両足を踏ん張ってしまうと両方のカラビナにつながるベルトにテンションがかかって、ABSがきいた形になり体重移動としては中立になります。そのため、しっかりとした体重移動をかけるには片側の足を踏み出し、片側の足は緩める必要があります。その上で、座板や上半身も使って体重移動するとよりしっかりとした体重移動ができます。

(インプレス3の操縦性と特性)

アドバンスのインプレス3はこれに加えて座板がなくなっているので、体重移動の特性が変わってきます。これは、アドバンスに在籍していたクリスチャン・マウラーがX−ALPS出場の際に開発したハーネスから始まったもので、座板をなくすことによってハンモック状にパイロットの体を支えています。座板があるとどうしても体重移動や揺れの際に座板がシーソー状態で過剰に揺れることがあります。座板をなくすことによって、この過剰な揺れがなくなり、体重移動もより繊細に調整ができるようになりました。 

ポッドハーネスはこのようにハーネスのベルトを体に合わせて調整することによって、より繊細な操縦ができるようになります。その分、ベルトの調整やセッティングはシビアになるともいえます。ベルトのセッティングが悪いと、非常に乗りづらいものとなります。特にポッドが前下がりになってしまったり、ポッドが後ろ下がりになってしまうということは特に注意する必要があります。

また、ポッドハーネスはその特性上、ポッドから足を離すとABSの効果がなくなり、揺れやすくなることがよくあります。そのため、スタンディングに移行する際に揺れてしまったり、コントロールしにくくなることがよくあります。インプレス3は座板がなくなった分、このスタンディングに移行する際もあまり揺れなくてすみます。ただレッグベルトが長いためかスタンディングを取ると体の位置がさがり、ブレークの引きしろが変化することがあります。体の位置が下がった分、ブレークのストールポイントがより近くなるので、そこは注意が必要です。このレッグベルトの長さが調整できるとよいのですが、基本は調整できない構造になっているので、スタンディングも何度かシミュレーションしてブレークポジションなどに慣れておく必要があります。

実際にサーマルソアリングをしてみると、インプレス3は非常の操縦性がよいことがわかります。前述のように、座板がないので最初は違和感がありますが、サーマルからの揺れの伝わり方もわかりやすく、体重移動もスムーズに行うことができます。岩村は以前は座板のあるインプレスハーネスを使っていましたが、こちらの方は座板があるポッドハーネスなので、座板がシーソーのように揺れることがありました。座板がないポッドハーネスは最初は少し違和感を感じますが、慣れるととても乗りやすいものです。

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(ポッドハーネスのその他の注意点)

ポッドハーネスにはそのほかにも、パラシュートが引き出しにくい、テイクオフでポッドが障害となる、レッグベルトの締め忘れにつながりやすいなどの問題点があります。DHVではこのような観点から、レクリエーションで飛ぶパイロットにはポッドハーネスはお勧めしないと警告しています。

特にインプレス3のような座板のないハーネスでは、スパイラルなどGがかかった状態では、パラシュートの収納部に圧力がかかり、パラシュートが引き出しにくくなると報告されています。DHV のインプレス3 ハーネスのパラシュート引き出しテストの結果を見ると、ポッドハーネスの中で特に軽量モデルでパラシュート収納部の小さいものは、大きいパラシュートを入れると引き出しにくくなるようです。ポッドハーネスでフライトする人は上記のような点にも注意する必要があります。

インプレス3は上記のレッグベルトの締め忘れによる脱落防止システムを装備していますが、パラシュート収納部はやはり小さ目なので、大きなパラシュートは使わず、パラシュート引き出しのテストをしておく必要があります。

(インプレス3ハーネスのまとめ)

 インプレス3をはじめとするポッドハーネスの第一の目的は、流線形に近づけることによって、滑空性能を向上させることにあります。もちろん、カッコよさとか冬暖かいという副次的な効果もあるようですが。操縦性の難しさやセッティングの難しさによるリスクは従来よりも軽減して、かなり扱いやすくなりました。しかしながら、やはりスタンダードなシッティングポジションのハーネスに比べると、すわり直すだけでも手間と時間がかかります。ポッドハーネスに乗る方は、それだけのリスクは理解しておく必要があります。

 インプレス3はポッドハーネスの中では、扱いやすく細部まで考えられたハーネスだと感じます。アドバンスのライトネスハーネスやスープエアーのディライトハーネスなど軽量化されているものは、やはり素材の丈夫さに心元ない感じがありますが、インプレス3はそれなりの丈夫さをもっています。

 ポッドハーネスに初めて乗る方は、少し手間はかかりますが信頼のできるスクールでしっかりと調整してもらうことをお勧めします。ポッドハーネスは特に、足のベルトの長さなどセッティングがしっかりできないと非常に乗りづらいものになってしまいます。インストラクターにしっかりとベルトの調整を確認してもらい、それからフライトされるのがよいでしょう。ポッドハーネスは調整がしっかりできると、非常に乗りやすくなりますから、適切なセッティングができること、適切な乗り方を指導してもらうことがとても重要なことだと思います。

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    アドバンス・ライトネス

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    スープエアー・ディライト

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