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 グランボレのサーマルを予測する場合の、気温減率や雲底高度などについて考えてみましょう。サーマルが上昇していくためには、サーマルの温度が周囲の空気の温度よりも気温が高い必要があります。日射によって、地表が温められると地面の上の空気の気温が上昇して、空気の塊が膨張し、密度が小さくなって上昇していきます。そのため、サーマルが発生する条件としては、日射が十分にあること、地表が日射を受けて十分に温まるほど、乾燥して、風が強くないことなどが必要になります。

 温まった空気の塊が上昇していくためには、周囲の空気との温度差が重要です。サーマルは上空の空気が冷えているほど上昇しやすいことになります。日照によって、地表の空気の塊が温まって上昇を始めると、この空気の塊は上昇するにしたがって気圧の変化で膨張し、気温は下がっていくことになります。この気温が下がる割合は乾燥断熱減率といって、100mにつき1℃の割合で気温が下がります。そのため例えば、地表で16℃まで温まって上昇を始めたサーマルは1000m上昇すると、10度気温が下がって6度程度になっていると考えられます。そのため、上空の気温がどの程度か、地表の気温がどの程度まで上がるかということが、サーマルを予想する上では重要になります。 

 このサーマルが上がる温度のメカニズムを理解するには、エマグラムというものが重要です。このエマグラムによって、気温と高度の状態が分かり、さらに地上の気温の推移を予想することによって、サーマルがどこまで上がるのか、場合によってはサーマルが上昇しすぎて積乱雲が発達したりということが予想できるようになります。エマグラムは下図のように高層気象観測を行う、茨城県の館野などでデータがでています。このエマグラムは高度10000m程度までを対象としており、パラグライダーが飛ぶ高度を詳しくみることは難しいのですが、最近ではtenki.jpのように高度ごとの温度を予想したり、sunnyspot のように、雲底高度を予想してくれるサイトもあり、便利です。繰り返しになりますが、エマグラムとサーマルの原理を知ることが重要です。そして、現場や気象情報の温度データからある程度サーマルの高さや時間、場所などを予想することができます。
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先日、11月24日にグランボレでソアリングセミナーを行いました。この日は高気圧の後面で南東の風で雲底予想高度は1200mほどでした。気温減率はtenki.jpの赤城山の予報で見ると、600mが5.8℃、900mが4.5℃、1100mが3.7℃、1500mが1.9℃、2000mが-1.2℃といった予報でした。沼田の地上気温の推移は、9時で8.6℃、10時で11℃、11時で12度、12時で13.7℃といった感じでした。グラフが少し見づらいですが、以上の温度データをグラフにすると下図のようになります。
左にプロットした水色の立ち上がった線が600mから2000mまでの気温減率になります。それに対し、9時、10時、11時、12時の地上気温によって、地上を離れるサーマルは100mにつき1℃の乾燥断熱減率によって、上昇とともに気温が下がり、9時では900m程度で上昇が止まりますが、10時では雲底高度となる1200mまで十分に到達することが分かります。積雲ができ始めると、湿潤断熱減率となり、気温の低下率はまた変わってきますが、サーマルが上がり始める時間、サーマルがどの程度まで上がるかがこのエマグラムによって予測できます。
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ちょっと小難しい話になりましたが、エマグラムや気温減率のだいたいの概念を理解することで、サーマルの上がる時間や高度、自分が飛んで楽しめる時間を予測することができるようになります。気象情報サイトを見るだけでも、ある程度の予想はできますが、クロカンやソアリング空域を広げるためにも気象の勉強が役に立つはずです。