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低アスペクト・EN-B で 300km 飛行するパラグライダーの革新


2016年3月17日、グランボで NOVA がリリースした新 EN-B クラスのパラグライダー、ION4のMサイズに試乗させていただきましたので、試乗レポートをします!


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ION4の構造・スペックなど


今回試乗させていただいたのは、ION4のMサイズ。装備重量が90〜110圓箸覆辰討い泙后4簑爾詫臑僚75圓曚匹任鬟櫂奪疋蓮璽優垢離┘爛轡薀ぅ肇蓮璽優垢鮖藩僂靴燭里如∩備重量は95堋度となります。
ION4は2014年に発表されたION3の後継機になるEN-Bクラスのグライダーです。ION3も当時としては画期的なこの低アスペクトでこの高性能という革新的なパラグライダーでした。ION4のION3とほぼ変わらないアスペクトで実測5.14、投影3.44となっています。見た目の印象としては、ION4の方が少しシャープになった感じがします。

ION4にはION3と同じくスマートセルやエアスクープといった、パラグライダーの最新技術が盛り込まれており、ブラジルで346劼糧行記録を打ち立てたという高性能ぶりはもはやIONシリーズとは思えないほどの高性能を感じさせます。

ION4を実際に広げてみると、完全な3列ラインでありライン本数の少なさに驚きを覚えます。かつてこの程度の低アスペクトでは、4列ラインや変形3列ラインが常識でした。NOVAはION3の時点から完全な低アスペクト3列ラインを実現してきました。


ION4の試乗フィーリング


ION4の試乗フィーリングは、アスペクトが低い割に滑空性能も高く、旋回の際の沈下率も小さいという印象を受けました。特にION3に比べると、旋回のブレークプレッシャーが軽く、サーマルに対してもピッチアップすることがなく、むしろサーマルにあたったときにパラグライダーが前に走ってサーマルコアに食い込んでいこうとする動きを感じます。この傾向は扇沢さんも言われていましたが、メンター4のように翼断面形がサーマルに対して前進していく傾向と考えられます。このため、ION4はサーマルのコアをとらえることがたやすく、ピッチアップでサーマルからはじかれることも少なく、いち早く上昇していくことができます。


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ION4でもう一つ特徴的なのは翼端の部分が大きく内側に絞りこまれるようにアーチを描いていることです。スパンテープのテンションもきいているため、立ち上げたときにやや翼端が変形気味にみえることがあります。この形状はサーマルでの旋回性に役立っているのではないかと思われますが、前述のようにサーマルでは前に走るように翼が進み、なおかつバンクがかかりすぎるということもありません。ロールとヨーイングのバランスがよいというか、過度にバンクがかかって沈下することなく、ヨーイングを起こしてくれます。サーマルで前に進む傾向のため、ある程度アウトブレークでピッチコントロールする必要がありますが、これももはやステップアップのパラグライダーというより、ハイエンドBクラスの動きのように感じられます。


前作のION3はハイエンドBではなく、ロークラスBかステップアップのためのグライダーという感じでした。しかしそれでも、この低アスペクトとしては画期的なソアリング性能を備えていました。NOVAはエアスクープなどの翼断面形状の技術革新によって、さらに高い性能を実現できるようになったと考えられます。今回のION4 ではさらに一段性能が進化し、ハイエンドBクラスに昇格してきた感じです


実際にブラジルでは早速300勸幣紊竜離飛行を達成するなど、MENTOR3よりも性能が高いといわれるほどの滑空性能を証明しています。NOVAのラインナップを見ると初級機はSUSIから始まり、PRION3、ION3 、MENTOR4、TRITON2と来ていましたが、ここにION4が入ることにより、MENTOR4の性能に迫る勢いで、PRION3とION4の性能差は少し大きいのではないかと感じます。将来的にはPRION3とION4の間のクラスも開発されていくのかもしれません。ヨーロッパメーカーは最近特にこの低アスペクトで高性能を実現し、A、Bクラスを充実させてきています。


ほかのパラグライダーメーカーでいえば、アドバンスのIOTA、GINのATLAS、OZONEのRUSH4などがこのクラスにあたります。ION4はこれらの中でも際立って低アスペクトで高性能を実現していると思われます。高アスペクトよりも低アスペクトが優れている理由は、立ち上げ、つぶれからの回復などのコントロール性が優れていること、中でもクラバットなどの厄介なマヌーバーからの回復性が高くなることがメリットとして挙げられます。


どんなパイロットに向いているか?


ION4はION3よりも明らかに一段性能が上がっている感じです。ION4は300勸幣紊竜離飛行を達成したように、NOVA社もMENTOR3よりも性能が上がっていると発表しています。NOVAのラインナップからすると、SUSI、PRION3、ION3だったものが、ION4に代わるわけですが、PRION3からのステップアップとしては、少しステップが高いように感じます。3機目程度でのステップアップは少し慎重になった方がよいかもしれません。アスペクトが低いので、立ち上げは難しくありませんが、ランディングアプローチはやや難易度が高く感じます。


逆にパイロットの方でこれまでハイエンドBクラスのパラグライダーに乗っていた方など、扱いやすくクロカンにも出られるほどの性能を確保したい方にはちょうどよいといえます。ION4は特にアクセルを踏んだ時の加速性能、滑空比の低下が大きくないので、感触としては、少し前のコンペグライダー程度の滑空性能は出ていると感じました。パイロットの方で、MENTOR3などハイエンドBのパラグライダーに乗っていて、MENTOR4ほどの高性能を求めない方、そこそこの性能で扱いやすさ、クラバットしにくい安心感を求める方には最適なパラグライダーだと思いました。