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 前回その9までは、グランボレのメインランディングで南東の風が強めの時に、地表付近で風速が弱まるウインドグラジェントの影響によって、ランディング付近で失速気味に沈下しやすくなるので、その対処法について考えました。

1.スタンディングをしっかりと安定させる。
2.ブレークを引きすぎないようにし、対気速度を維持する。
3.ブレークを引きすぎないように、低めに高度を合わせて進入する。

今回はこのうちの2と3の対策について考えてみましょう。

対気速度を維持してアプローチするほうが、高度が高めで入ってスピードを落としてアプローチするよりも、失速のリスクを減らすことができます。しかしそうすると、高度を低めに合わせてアプローチするという方法論が必要になってきます。このあたりを詳しく考えてみましょう。

オーバープル方式フレアー方式ダイレクトベース3
ダイレクトベース4
左の図のように、高度を高めでファイナルに入ってスピードを落としながら、徐々にブレーキを引いていく方式をオーバープル方式といいます。この方式ではウインドグラジェントの影響が少なく、程よく風が安定しているときや下り坂で伸びていきやすい時は有効な方法といえますが、向かい風でウインドグラジェントにあたると失速しやすくなるといえます。

下の図のフレアー方式では最後まである程度スピードを維持し、最後にブレーキをかけることで速度のエネルギーを上昇のエネルギーに変えて、着地の衝撃を和らげることができます。ウインドグラジェントの影響がある場合は、ある程度スピードを維持してこのフレアー方式に近い形の方がよいと考えられます。

もちろん、スタンディングをとって空気抵抗を増やし、ブレークでもある程度スピードを抑えた方が滑空比を小さくして、伸びにくくすることができるのですが、ウインドグラジェントの影響があるときは、対気速度を抑えすぎてはいけません。ある程度は対気速度を維持してアプローチします。

3番目の図のように、8の字ターンから直接ベースレグに進入する方法をダイレクトベースと呼んでいます。ダイレクトベースの最大のメリットは風速が強めの際に、偏流飛行でベースレグをとりながらランディングからの距離を一定に保ちながら、低めに高度を合わせてもいつでもランディングに進入することができるという点です。

また4番目の図のように、このダイレクトベースで高度を低めに合わせてくれば、緩やかなターンで最後までアプローチを組み立てることができます。また、ウインドグラジェントで風速が弱まったとしても、偏流飛行をとっているので、極端に速い対地速度になるリスクを回避することができます。極論すれば、偏流飛行をとっていれば、最後は向かい風に向けきれなくてもさほどリスクはないことになります。

このようにダイレクトベースは風速が強めでウインドグラジェントの影響がある時にとてもメリットのあるアプローチ方法といえます。
少し長くなりましたので、次回は動画などを交えていろいろなアプローチ方法を検討してみましょう。