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 パラグライダーの操縦や安定性の原理を理解するための航空力学を考えてみましょう。パラグライダーはどのような原理で飛べるのか、どのような力学特性で操縦しているのかを考えてみましょう。
力のつり合い

 パラグライダーは力学的な力のつり合いとしては、パイロットの体重に装備を加えた全装備重量分の重力に対し、上方向に空気力という力が働いて、作用反作用の関係でつり合っています。空気力はいわゆる揚力と言い換えてもよいのですが、翼から発生する空気力学的な力で鳥や飛行機と同じく、翼が空気中を前に進んで空気を下に押し下げることによって発生します。
LIFT

 揚力の発生する原理は上の図のように、翼の前から後ろに流れる空気が上面で流れが速くなり、ベルヌーイの定理によって、圧力が低くなります。この上面の圧力低下と下面の圧力上昇によって、上向きへの揚力が発生します。パラグライダーの場合、斜め下に滑空しながら飛んでいるので、空気力のうち滑空方向に垂直に働く成分を揚力、滑空方向と反対方向に働く成分を抗力に分解します。最初の図からもわかるように、揚力と抗力の比率が滑空角に影響することがわかります。揚力に対して抗力の比率を減らしたほうが、滑空比が良くなることがわかります。
 パラグライダーの前進力は重力に比例するため、重力が一定であれば、前進速度も一定になります。ノーマルタイプのパラグライダーだと、ブレークコードを操作しないときの前進速度は時速30km程度、沈下速度は毎秒1m程度になります。ブレークコードを引いたり、アクセルを操作したときには、迎え角が変化し、これによって揚力と抗力の比率が変化するため、前進速度や滑空比が変化します。
断面形

 パラグライダーの翼の断面形は最初の図のような流線形になっており、空力中心という空気力と重力が釣り合う作用点はおおむね前から25%程度の位置にあります。これは、尾翼のない滑空機には特に重要なことで、空中で失速した場合も重心が前にかかることによって、翼が前進して滑空状態を回復できるようになっています。またパラグライダーは翼の空力中心の下に、重心であるパイロットがぶら下がることによって、振り子安定があるので、翼の迎え角が一定に保てるようになっています。
 パラグライダーは以上のような原理で、飛行機と同じく翼で飛んでいますが、速度がゆっくりで安定性が高いため、初心者でも比較的操縦しやすくできています。