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 パラグライダーの航空力学その2、今回はパラグライダーの安定性について考えてみましょう。パラグライダーが安定して飛ぶためには、ピッチ、ロール、ヨーに対しての安定性が必要になります。 
スパイラル3

 パラグライダーのピッチ、ロールには重心が下にぶら下がっていることによって、振り子安定が働いています。振り子安定によって、ピッチ、ロールは上の図のように、傾いた状態になると、重心が空力中心の下に戻ろうとする復元力が働きます。復元力だけだと振り子運動が続いてしまうので、空気抵抗などで減衰力が働くと、ピッチもロールも傾きのない状態に安定していきます。
camber1

 ピッチに関しては空気力学的な安定性もあります。上の図のように、通常のパラグライダーでよくあるのは2の翼のキャンバーが上に反っている形で、揚力を効率よく発生させる設計に多くみられます。この形の場合、ピッチの特性としては迎え角が小さくなると迎え角を下げようとし、迎え角が大きくなると迎え角をあげようとする不安定なモーメントが働きます。
 モーターパラグライダーなどでは4の形でリフレックス翼という断面形を採用しているものもあります。この形の場合、キャンバーが前側では上に反っていますが、後ろ側で下に反っているので、これがピッチを安定させる水平尾翼の役割を果たし、ピッチが上がるとピッチを下げようとし、ピッチが下がるとピッチを下げようとする効果をもたらします。
ナイロンロッド

 このリフレックスと同じような働きをすると言われているのが、最近よくあるナイロンロッドやシャークノーズの入ったリーディングエッジです。リーディングエッジの丸い部分にナイロンロッドを入れることにより、迎え角が大きくなった時には迎え角を下げるように、迎え角が小さくなった時には迎え角を大きくするように働きます。
 しかし、これらの空力的な安定性や振り子安定による安定性もすべて限界があります。乱気流やつぶれ、失速に入った時などは、急激なシューティングを起こしたり、グライダーによってはローリングの動きが続いてしまったりする場合もあります。個々のグライダーの特性については、グラハン練習をしたり、穏やかな風の時に少しずつ試したりして理解していく必要があります。