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 パラグライダーの航空力学その3、今回は翼の迎え角を変えることによる影響、特にポーラーカーブについて考えてみましょう。
揚力、抗力

 一般的な翼は迎え角を変化させると、上の図のように揚力と抗力の比率が変化します。迎え角が下がると抗力は減少し、揚力も減少します。迎え角が上がると、抗力は増大し、揚力も増大しますが、失速角といって、おおむね迎え角15度程度になると、揚力が急激に減少します。
失速

 失速角になると、上の図のように翼上面に空気の流れが剥離し、乱流を生じるようになります。このため、空気抵抗が大きくなり、翼が前に進まなくなって、下方向に沈下するようになります。パラグライダーでは、フルストールといって、ブレークコードを大きく引いて失速した場合は、翼から空気が抜けて大きく沈下していきます。ブレークコードを引きすぎないようにすることも重要ですが、失速は迎え角が大きくなることによって発生するということに注意が必要です。つまり、ブレークコードを引く量だけではなく翼の迎え角が大きいと失速する場合があるということです。
ポーラーカーブ
 
 翼の迎え角が変化することにより、揚力と抗力の比率が変化し、それによって滑空比や滑空速度も変化します。これをグラフにプロットしたものが、ポーラーカーブです。翼の揚力と抗力の比率が最良になる速度を最良滑空速度といいます。パラグライダーでは無風であれば、ブレークコードをほとんど引かない状態か、アクセルを20%程度踏んだところが、最良滑空速度になるように設計されています。このため、無風のコンディションでフライトしているときは、最良滑空速度でフライトするともっとも効率よくフライトできます。
ポーラーカーブ3

 最良滑空速度は風によって、変化します。上の図のように、向かい風や下降風の際はアクセルを踏んだりして、速度を出したほうがよく、追い風が上昇風では最小沈下速度程度に速度をゆっくりにしたほうがよいといえます。ただし、風が荒れているようなときや対地高度が低いときはアクセルを踏んだり、ノーブレークにすると翼が乱気流で大きくつぶれるリスクがあるので、注意が必要です。パラグライダーのフライトでは最良滑空速度よりもまずはつぶれないように、グライダーをコントロールすることが優先です。