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カテゴリ:テクニカル・セッション

ランディングアプローチの技術 その15

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前回その14までは、南東風でランディングアプローチする際に、斜面の地形に合わせてどの程度の高さを目安にしてアプローチするのかを考えてみました。またこの場合、下り斜面にアプローチしていくので、滑空比を抑えることが重要ということを学びました。今回はこの滑空比を抑える方法、その練習方法について考えてみましょう。
ランディング13

上の図のように、上段の斜面からターゲットは水平距離160mで高度差32mで、滑空比5程度になります。この上段から飛んだ時にターゲットにおろせる程度の滑空比に調整できれば、この下り坂のランディングアプローチは格段にやりやすくなります。

上の動画は最良滑空比8.4程度あるといわれる、クラスBのグライダーで岩村が試みに上段からフライトして直線飛行でターゲットに合わせる滑空比に調整してみました。このときは、サーマルコンディションで南風3m程度。ランディングにもサーマルがでて、5〜10m程度吹き上げられる場面もあったので、純粋に滑空比を計測することができるコンディションではありませんでしたが、次のようなことが分かります。

1.滑空比を小さくするためには、スタンディングをとり、向かい風に合わせ、ブレークを抑える必要がある。
2.160mの直線飛行を40秒程度でフライトしているので、毎秒3.2m程度の平均対地速度でフライトしている。仮に風速を毎秒3〜4m程度とすると、対気速度は毎秒6.2〜7.2m程度で時速22〜26卍度となります。

対気速度22kmというとかなりストールポイントに近づいてきますので、このスピードを抑える方法については慎重に考えて練習する必要があります。練習の順序としては、まずスタンディングポジションをしっかりと安定させる方法をシミュレーターで練習し、その後中段、上段からのフライトなどを通して滑空比の調整、スピードコントロールの方法を練習していくのがよいと考えます。

スタンディングとスピードコントロールをつかった滑空比調整の効果については、下の2つの動画を比べてみるとよくわかります。この2つはグライダー性能は多少違いますが、スタンディングをしてスピードコントロールをしているか否かでちょうど滑空比5から8程度の違いが出ていると考えられます。




滑空比が高くても、地面近くでも正確なコントロールができるパイロットは調整して降りることができますが、速い速度でクラッシュするリスクを考えると、滑空比を下げ、速度を抑えて、スタンディングでアプローチするというのがリスクが低くできる、重要な方法論です。

それでは、次回その16ではスタンディングやスピードコントロールの練習方法を考えてみましょう。

ランディングアプローチの技術 その14

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前回その13までは南東の風でのランディングアプローチについて、ランディングの地形にあわせてどのような高度判断で進入するのが良いのかを考えてみました。今回は、風向風速と滑空比に応じてどのような高さ判断が良いのか、地形の低いところに合わせる方法について考えてみましょう。
ランディング11

上の図のように、ランディングに対して滑空比5で風の影響を受けずに進入してくるとすると、通常の場周アプローチでダウンウインドに入るには70m程度の高さが必要になります。高度が低めでダイレクトベースの要領で進入するとすれば、30m程度の高さでよいことになります。ただしこのダイレクトベースの場合、前述のように南東風が影響すると特に対地速度が速くなり、追い風で登り斜面に降りる確率が高くなります。そのため、慣れない人は特に高めの70m程度で進入するのがよいと考えられます。
ランディング4

上の図のように、滑空比が高い最近のグライダーで8程度の対気滑空比がある場合は、伸びやすくなるため高度を低めに下げて進入する必要があります。特に注目すべきは、上段と中段の間にベースレグに入るときで、対地高度18m程度というと上段よりも高度を下げ、斜面に近い地面すれすれを狙うような進入になってきます。こうしてみると、場周アプローチでリスクなく進入するためには、無風時は特に滑空比を抑えてダウンウインドに入ることが重要であることが分かります。
ランディング2

滑空比が高くても風向きに正対させればよいのではないか?というご意見がありそうなので、あくまで水平成分の南風が影響した場合に進入する高さはどうなるかを考えたのが上の図です。これでもダウンウインドに入る高さは26.7m程度と低めになりますし、また南風の時は南斜面の前側は上昇風になってくるので、滑空比が高いとさらに高度処理が必要になってきます。やはり結論としては、滑空比を5程度まで抑え、高めに入っても伸びにくい状態を作ってから、ダウンウインドに入るのがよいことになります。

それでは、次回その15では滑空比を抑える方法とその練習方法について考えてみましょう。

ランディングアプローチの技術 その13

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前回その12まではランディングに低めに進入する方法として、ダイレクトベースアプローチについて考えてみました。今回はランディングアプローチの基本に返って、右回り場周アプローチで進入する場合の、滑空比や風向風速による高さについて考えてみましょう。
ランディング3

上図のように滑空比5程度で右回り場周でアプローチするとして、上昇風などの影響を全く受けないと仮定すると、上図のように高度は変化していきます。ダウンウインドに進入する高さは70m、ベースレグに進入するときは30m、ファイナルに進入するときは20mとなります。注意点としては、この高さはターゲットに対する高さであって、斜面に対しての対地高度ではないことに注意が必要です。
ポーラーカーブ

また滑空比5でランディングアプローチするということは、最近の滑空性能が高いグライダーでは最良滑空比が8程度はあると考えられます。上図のように最良滑空比8.5のグライダーでは滑空比を5程度まで下げるには、対気速度を25卍度にブレークで抑え、スタンディングポジションを取って空気抵抗を増やす必要があると考えられます。
ランディング9

グランボレのランディングというのは、上図のように結構な斜度と高低差があります。そのためベースレグに入る高さ30mというのは、実はランディングの最上部、上段の高さとほとんど同じになってしまいます。ということはベースレグに入る場合、上段や中段付近など地形の盛り上がっている部分や樹木の高い部分に注意しながら、うまく地形の低いところを狙って進入していく必要があります。
ランディング10

これを地上から見たイメージで見ると、上図のようになります。ベースレグに入る高さ30mは上段の高さとほとんど同じになりますので、上段と中段の間で中段の後ろの尾根をかすめるように入ってくる高さということになります。
ランディング11

ちょっと読みづらいですが、この滑空比5の場合のターゲットに対する対地高度と地形の高さを見てみると上図のようになります。こうしてみるとグランボレのランディングの場合は、地形と風向風速をよく見て地形の低いところに合わせていくという技術が必要であるということが分かります。

それでは、次回その14では地形や風向風速を見て、地形の低いところに合わせる技術について考えてみましょう。

ランディングアプローチの技術 その12

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前回その11までは、南東風が強めの状況でのランディングアプローチの一つの方法として、ダイレクトベースの方法について考えてみました。今回は、ダイレクトベースアプローチのやり方や注意点について詳しく考えてみましょう。
ダイレクトベース4

ダイレクトベースアプローチは風が強い時に偏流飛行をとりながらアプローチすることにより、滑空比の良い状態を保ちながらランディング場にアプローチを合わせやすくなるという利点があります。その一方、最後まで偏流飛行をとることで対地速度が速くなる可能性があります。偏流飛行の場合の滑空比と対地速度を考えてみましょう。
偏流飛行2

上図のように仮に滑空比6、対気速度6m/sのグライダーで90度の風に対して偏流飛行をとったすると、風速に変わらず、対地速度があまり小さくならないことがわかります。風速4m/s程度の強い風を受けていたとしても、偏流飛行をとっている間は、対地速度4.5m/s、対地滑空比4.5程度を保つことができます。
偏流飛行3

しかしこのことは逆に言えば、偏流飛行のまま降りると対地速度が速くなり、クラッシュのリスクも高いことがわかります。偏流飛行から最後は風向きに正対させるようにすれば、たとえ2m/s程度の弱風でも対地速度を4m/sに減少させることができ、クラッシュのリスクを低減させることができます。上図のように、風に正対させないまでも45°程度まで風向きに近づけることで対地速度は減少することがわかります。

このように考えてみると、ランディングのタッチダウンでクラッシュするリスクを低減するためには、風速が2m/s程度でもある時は、向かい風に正対させたほうがリスクは少ないことがわかります。そうすると、低い高度まで偏流飛行でアプローチするダイレクトベースはより高度な操縦技術を必要とすることが分かります。特に最後に向かい風に向けていく高度判断、正確な旋回技術が必要となります。

少し話が長くなってきましたので、次回その13では基本に返って向かい風に向けて、リスクなくアプローチするにはどの程度の高さ判断が必要なのかを考えてみましょう。

ランディングアプローチの技術 その11

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前回のブログその10までは、南東風が強めでウインドグラジェントの発生している状況に対して、右回り場周アプローチの変形で、ダイレクトベースアプローチをする方法を考えました。今回は動画を交えて、ダイレクトベースアプローチのやり方や注意点を考えてみましょう。


上の動画は南東から東の風4m程度でランディングアプローチをしてきて、最後にS字ターンをしたところで、地表3m程度でウインドグラジェントの影響を受けて急激に沈下している様子がわかります。この場合、東風に北東の下降気流が混じってより、沈下しやすくなっているとも考えられますが、ターンやブレーク操作を繰り返していると翼上面の気流が剥離してより沈下しやすくなると考えられます。この点、ダイレクトベースアプローチではターンの回数やブレーク操作を減らすことができます。


上の動画は南東の風3m程度で、比較的ウインドグラジェントの影響の少ない時ではありますが、同じパイロットが右回り場周のダイレクトベースアプローチでランディングしてきています。このアプローチ方法だと、ターンを緩やかな右旋回だけで、ピッチングを起こす可能性が低く、ウインドグラジェントによる急激な沈下を避けやすくなります。ただし、このダイレクトベースアプローチには通常の場周アプローチに比べて、風向きに合わせにくいなどのリスクもあります。このダイレクトベースの注意点について考えてみましょう。

ダイレクトベース4

ダイレクトベースの場合の注意点としては、下記があげられます。

1.風向きに正対しきれず、対地速度が速くなることがある。
2.ウインドジェントで風速が変化した場合に、対地速度が速くなる。
3.偏流飛行にしても、風向きに正対するにしても正確な操縦技術が必要になる。

以上、ダイレクトベースに注意点を挙げてみました。詳しい解説は次回のブログでしていきたいと思いますが、ダイレクトベースは特に速い速度で着地する可能性があるという点に注意が必要です。上の動画を参考にして、練習は無理なくインストラクターに相談の上で進めていきましょう。





ランディングアプローチの技術 その10

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 前回その9までは、グランボレのメインランディングで南東の風が強めの時に、地表付近で風速が弱まるウインドグラジェントの影響によって、ランディング付近で失速気味に沈下しやすくなるので、その対処法について考えました。

1.スタンディングをしっかりと安定させる。
2.ブレークを引きすぎないようにし、対気速度を維持する。
3.ブレークを引きすぎないように、低めに高度を合わせて進入する。

今回はこのうちの2と3の対策について考えてみましょう。

対気速度を維持してアプローチするほうが、高度が高めで入ってスピードを落としてアプローチするよりも、失速のリスクを減らすことができます。しかしそうすると、高度を低めに合わせてアプローチするという方法論が必要になってきます。このあたりを詳しく考えてみましょう。

オーバープル方式フレアー方式ダイレクトベース3
ダイレクトベース4
左の図のように、高度を高めでファイナルに入ってスピードを落としながら、徐々にブレーキを引いていく方式をオーバープル方式といいます。この方式ではウインドグラジェントの影響が少なく、程よく風が安定しているときや下り坂で伸びていきやすい時は有効な方法といえますが、向かい風でウインドグラジェントにあたると失速しやすくなるといえます。

下の図のフレアー方式では最後まである程度スピードを維持し、最後にブレーキをかけることで速度のエネルギーを上昇のエネルギーに変えて、着地の衝撃を和らげることができます。ウインドグラジェントの影響がある場合は、ある程度スピードを維持してこのフレアー方式に近い形の方がよいと考えられます。

もちろん、スタンディングをとって空気抵抗を増やし、ブレークでもある程度スピードを抑えた方が滑空比を小さくして、伸びにくくすることができるのですが、ウインドグラジェントの影響があるときは、対気速度を抑えすぎてはいけません。ある程度は対気速度を維持してアプローチします。

3番目の図のように、8の字ターンから直接ベースレグに進入する方法をダイレクトベースと呼んでいます。ダイレクトベースの最大のメリットは風速が強めの際に、偏流飛行でベースレグをとりながらランディングからの距離を一定に保ちながら、低めに高度を合わせてもいつでもランディングに進入することができるという点です。

また4番目の図のように、このダイレクトベースで高度を低めに合わせてくれば、緩やかなターンで最後までアプローチを組み立てることができます。また、ウインドグラジェントで風速が弱まったとしても、偏流飛行をとっているので、極端に速い対地速度になるリスクを回避することができます。極論すれば、偏流飛行をとっていれば、最後は向かい風に向けきれなくてもさほどリスクはないことになります。

このようにダイレクトベースは風速が強めでウインドグラジェントの影響がある時にとてもメリットのあるアプローチ方法といえます。
少し長くなりましたので、次回は動画などを交えていろいろなアプローチ方法を検討してみましょう。




ランディングアプローチの技術 その9

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前回その8で解説した、南東の風強めの際に発生するウインドグラジェント、強めの風が地表付近では風速が弱まる現象とその影響について、引き続き考えてみたいと思います。

ランディングアプローチ中にウインドグラジェントに遭遇すると、翼が受けている対気速度が急速に小さくなり、失速気味になることが考えられます。下の動画はこのようなウインドグラジェントの影響で失速気味に沈下していると考えられます。



このような場合の対応策は、いくつか考えられますが、挙げてみますと。

1.スタンディングをしっかり安定させる。
2.ブレークを引きすぎないようにし、対気速度を維持する。
3.ブレークを引きすぎないように、低めに高度を合わせて進入する。

1.のスタンディングポジションから解説しますと、スタンディングをとっているつもりでも、意外とスタンディング姿勢が安定していなくて、ブレークを引きすぎてしまうことがあります。

スライド42

スタンディングポジションでは、左の図のように前傾して、いつでも走ることのできる姿勢を作っておくことが重要です。ハーネスは座るようにできている性質上、どうしても前傾姿勢が不安定だと、その反動でブレークを引いてしまいやすくなります。スタンディングポジションを安定させるのは、意外と難しい技術ですので、インストラクターに相談し、シミュレーターでハーネスを調整してみることをお勧めします。

特にポイントとしては、上半身は前傾姿勢で胸ベルトに体重を預けるようにし、下半身は座板の前にお尻を移動して、足を前後に開くことが重要です。スタンディング姿勢がしっかり安定できるようになると、風の不安定なランディングアプローチに対して格段にリスクを軽減することができるようになります。

少し説明が長くなってきましたので、2と3の対気速度を維持して、低めに進入するアプローチについては次回のブログで説明していきたいと思います。   グランボレ:岩村



ランディングアプローチの技術 その8

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グランボレでは外部講師の方を招いて、2016年7月上旬にランディングセミナー企画しています。日時はまだ未定ですが、その企画意図についてお話ししたいと思います。

最近のグライダーは滑空性能が高くなったためか、グランボレのメインランディングのような傾斜地のランディングでは伸びやすくなり、ブレークを引きすぎて失速するなどの事象が起きやすくなっています。こういった事象に対処するためには、いくつかの安全策、アドバイスが考えられますが、その啓蒙の一環としてこのブログでの説明やランディングセミナーを行っていきます。
ウインドグラジェント4
最近のパラグライダーが傾斜地のランディングに降りにくいのは、単純に滑空比の問題もありますが、サーマルコンディションではウインドグラジェントのような乱気流が発生することも原因となっていると考えられます。ウインドグラジェントは左の図にように、上空で強い風が地表付近では風が弱まる現象です。グランボレのランディングの場合は正確なウインドグラジェント現象ではありませんが、簡素化のためウインドグラジェントとして説明します。
ランディング講習会23
ランディングアプローチでこのウインドグラジェントに遭遇すると、向かい風でアプローチしてきたパラグライダーの対気速度が急速に小さくなり、ブレークコードを抑えている場合はストールポイントよりも小さいブレークストロークで失速したり、失速に陥らないまでも揚力を失って急速に沈下すると考えられます。
ウインドグラジェント5
グランボレのメインランディングの場合、左の図のように南東の風が4m以上吹いているときは、地形的に風上の林などの影響により、ランディングの北半分で乱気流が起きやすくなり、ウインドグラジェントの影響で地表付近は風が弱まるという状況が発生します。そのため、ランディングの南半分を使って高度を低めに合わせて右回り場周でアプローチするといった方法が有効です。

対応策をまとめてみると、

1.ランディングの南半分を使って、右回り場周でアプローチする。
2.最後までスピードを抑えすぎず、対気速度を残してアプローチする。
3.スタンディングポジションをしっかり安定させ、特にブレークを引きすぎない。
4.風の弱い時と違って高めでランディングに入らず、低めに進入する。

少し長くなりましたので、具体的な解説は次回に行っていきたいと思います。 
   グランボレ:岩村









パラシュートセミナーのご報告

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パラシュートセミナーのご報告

3月21日月曜日、安全講習会の重要なテーマとして、パラシュートセミナーを開催しました。
この講習会は次の二つの目的を達成するために行いました。一つ目はパラシュートについて理解を深めること。なんとなく人づてに聞いたようなあやふやな知識ではなく、パラシュートについて正確な理解を深めます。二つ目は実際に開傘シミュレーションを体験することです。体育館にロープをセットして、大きな振り子を作りだし、回転する動きを足します。体験するとわかりますが、かなり気持ち悪いです。このような状況でもきちんと、パラシュートを引き出し、そして目標に向かって投げることが出来るのかを体験します。

1:理論セミナーの内容について
参加者の皆さんは、まずパラシュートの基本理論について講習をうけていただきました。
知っているようで知らないパラシュートの知識。一番怖いのは知っているつもりになっていることに気がつかないことです。そうならないために、実際におこったパラシュートを使用できなかった事例などを教材にして、なにが原因だったのかを学びます。その後は、どのようにパラシュートが開くのか、そしてパラグライダーというスカイスポーツにおけるパラシュートの問題点、開かなかったパラシュートはどのような対応で回復が可能かなどを学びました。

参加者の皆さんの意識は非常に高かったので、講習内容とはすこし逸れてしまいましたが、次のテーマについても講習をおこないました。それが、軽量パラシュートの機能的、構造的な問題点について。そして質問があった、さまざまな形のパラシュート、そのメリットとデメリットについてです。皆さんの関心の高さが伝わってきます。

2:開傘シミュレーション実践!
講習が終わったところで早々に、シミュレーション会場へと移動します。まあ、普通の体育館ですけど。まずは、最初は「レスキュー!」の合図と同時にできるだけ素早く引き出すトレーニングを行いました。次に目標となるカゴをおいて、その目標に向かって落ち着いてレスキューを投げる講習を実践しました。

3:実践!うまくいかなかったケース

こちらの参加者の1回目の挑戦です。動くこと、回り続けてしまうことに気をとられてしまい、パラシュートを引き出すことにかなり時間がかかっています。しかし、そのグリップを握ってアウターコンテナからインナーコンテナを引き出そうとする動きを確認したリガーが収納にある工夫を行いました。それが次の様子です。

4:実践!改善された引き出す動き

同じ参加者の2回目の挑戦です。レスキューグリップとインナーコンテナを調節し直しました。その結果として腕がより動くようになり、前回に比べてかなり短い時間で引き出すことに成功しました。そして、狙いをさだめてレスキューパラシュートを投げることが出来るようになっています。この方は女性で、小柄な体格です。そのため、腕の長さをより有効に活用できるように細部を調整する必要があったのです。

5:実践!より難易度をあげて挑戦しよう!
1回目が上手に出来た人はより難易度をあげて挑戦です。次のような想定を行いました。
条件その1「ライザーがツイストして右手が使えない。」
条件その2「しかもグライダーが自分の右方向に絡まっているため左側に投げなくてはならない」
最後の条件はこじつけに近いのですが、通常のセッティングではパラシュートグリップは右側に装着されていますので何とかして体を起こし、左手でグリップを引き出す必要があります。

この受講者の方は、体格にも恵まれ(背が高く手足が長い、いわゆる平成の体型というやつ)ていること、バランス感覚に優れ揺れを予測する能力に優れていることから一回目のトライでこの難しい課題を達成できたのです。

いかがでしたでしょうか。
パラシュートはお守りではありません。
いざというときには絶対に使用しなければならない必要不可欠なパラグライダーというスポーツの装備品です。

見て、識って、経験するといいます。

いざというときにその差が出てしまうのです。
パラグライダーというスポーツの特性と真摯に向き合ったことがあるひとならば、「いざそのとき」はいつくるのかだれにもわからないこと、「いざそのとき」をむかえ失敗したならば、この次は失敗しないようにと反省する次の機会を持てないことを識っていることでしょう。

またこの次もこのような講習会を行います。
できれば定期的に季節に一度は行いたいと考えています。
今回は残念ながら参加できなかった皆さんも、次回はぜひ参加してくださいね。


グランボレのサーマルソアリング その9

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SOAR7

 前回までは気温減率について説明したので、今回は積雲の雲底高度について考えてみましょう。上の写真のような積雲ができているときは、たいてい地上からのサーマルによって積雲ができています。積雲は下から上がってくるサーマルの空気の塊に含まれる水蒸気が凝結して、目に見えるようになったものです。サーマルは前回説明したように、地表から離れて上昇するにつれて、乾燥断熱減率で100mにつき1℃の率で温度が低下していきます。
SOAR6

 そして、このサーマルの空気中にある水蒸気が露点温度になると、水蒸気が気体から液体の状態に凝結します。この露点温度は湿球温度計という、温度計の先を水で浸したもので計ることができます。露点温度が分かっていれば、露点温度と気温の差が露点差といって、雲底高度を知る根拠になります。例えば現在気温が15℃で露点温度が4℃の場合、露点差は11℃です。この場合、11℃×100mで1100mまで上がったところで、積雲ができると予測できます。
Umidita_specifica

 しかし天気予報では、露点温度を表示することは少なく、相対湿度で表示されています。相対湿度とは、たとえば上記の現在気温15℃で露点温度4℃の場合、現在気温15℃の飽和水蒸気量を見ます。この飽和水蒸気量が上のグラフになります。15℃の空気は1圓△燭蝓10gほどの水蒸気を含むことができます。それに対し、露点温度4℃の空気は1圓△燭5gほどの水蒸気を含んで、飽和状態になった空気です。そうするとこの、10gの飽和水蒸気量に対し、5gの水蒸気を含んでいる状態は相対湿度では50%ということになります。このように、湿度が高い時は雲底が低く、湿度が低く乾燥した空気の時は雲底が高くなると予測することができます。
SOAR1

 それでは、雲底高度を正確に予測するにはどのようにすればよいでしょうか?先日11月24日のソアリングセミナーの日は、SUNNYSPOTの予測では、雲底高度は1210m程度となっていました。11時ごろまでは確かに1200m程度でしたが、気温が上がってきたためか、12時ごろには1600m付近まで雲底が上がってきました。これは日照によって、地表の気温が上がり、露点差が大きくなったためと考えられます。雲底高度を正確に予測するためには、この日照による影響を考える必要があるので結構難しいものがあります。
SOAR2

 この11月24日の場合、アメダスの前橋の気象データを見ると、最高気温は13時で15.9℃、相対湿度は50%となっています。この場合、先ほどの仮定とほぼ同じで露点温度が5℃、露点差が11℃と考えられます。そうすると、雲底高度が1100mと予測できます。前橋のアメダスの標高は112mですが、沼田のアメダスは439mです。327mほどの標高差があるわけですが、1500mから1600mの雲底とすると、だいたい400m〜500mの標高差が影響していると考えられます。標高の高いところから、出てくるサーマルは出発点が高いので、高いところまで到達するわけです。
 少しまた、小難しい話になってしまいましたが、天気予報で温度や湿度を見ると、その日の雲底高度がどのくらいかを予測することができます。

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