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岩村インプレッション:MAC PARA「EDEN6」

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メーカー公表滑空比10以上、ハイエンド EN-B クラスのパラグライダー


チェコの老舗パラグライダーメーカーであるMAC PARAのEN-BグライダーEDEN6に試乗させていただきました。MAC PARA社は東欧チェコ共和国の有名メーカーでかつて世界選手権やワールドカップでは目覚ましい活躍を見せていたメーカーです。特にぺトラ・クラウソバ、トーマス・ブラナー、グレゴリー・ブロンドーなどの活躍を思い出します。


MAC PARAは1998年ごろから日本にも紹介されたメーカーで、DIVA、EDEN、MAGUSなどというパラグライダーが有名でした。MAC PARAのグライダーの特徴としては、ブレークプレッシャーが軽く、コントロールのフィーリングが軽快で、ワールドカップだけでなく、アクロバットでも活躍しているという印象がありました。


今回のEDEN6はメーカーによると滑空比10以上、実測アスペクト5.91でEN-Bクラスの中でもハイエンドに位置するグライダーであり、クロスカントリーにも十分な性能を持つといわれています。今回はEDEN6のサイズ26の適正重量78〜100圓紡个掘⊃燭鹵罎90堋度で試乗させていただきました。


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EDEN6 の構造


EDEN6を広げてみると、実測アスペクト5.91で投影アスペクト5.11と最近のEN−Bクラスにしてはハイアスペクトですが、フライト中見上げてみるとさほどアスペクトは大きく感じません。平面形は後退翼で翼端にアーチが強くかかり、旋回のフィーリングを意識した作りであることがわかります。後退翼とは翼の翼端部を後方にカーブさせることで、ヨーイングやローリングからの安定効果を狙っていると考えられますが、EDEN6のシャープな翼端の作りは、素早くロールを起こし旋回の機敏さを狙っているものと考えられます。


MAC PARAもヨーロッパメーカーの流れに乗り、ナイロンロッドで段差のあるシャークノーズ型のエアインテークを採用しています。これら新しい3Dシェイプ技術により、MAC PARAはEN-CのELANから軽く、より安定した立ち上げ特性と手に入れたと述べています。


EDEN6をフライト中に見上げるとほぼ完全な3列ライン構造で、上記の後退翼と翼端のアーチが目立ちます。ライザーやラインの作りもシンプルで特に被覆のついた色分けされたボトムラインは扱いやすく好感が持てます。トレーリングエッジにはミニリブか細かく配置され、翼内部でも3Dシェイプのブラッシュアップを行っていることが分かります。


試乗フィーリング


EDEN6の立ち上がりは、MAC PARA社のコメント通り、軽くスムーズに上がってきます。むしろ最近のグライダーにしては、やや前にシュートしそうな傾向で、早めにブレーキングして頭上安定してあげる必要を感じます。ただし、もう一つの特徴としてグライダーが翼短部分に引っ張られるのか、横風を受けたときなどロール方向に傾く時があるので、風向風速には注意する必要があります。


フライトに入ってみると、EDEN6はEN-Bクラスらしく浮きもよく、旋回も機敏なフィーリングです。特に後退翼のためか、センタリングに入ると斜め後ろに引っ張られるように小さい半径でクイックに旋回することができます。逆に言えば、NOVAのION4などは翼が前に出ていこうとするのに対し、EDEN6は同じブレークストロークで旋回を続けるとサーマルの中でより小さく回ろうとするような傾向があります。私のフィーリングとしてはセンタリング中にコアを確実にサーチしようと思うと、旋回内側のブレークストロークを時折戻して旋回半径を大きくするようにしてセンタリングを修正した方がよいように感じました。


サーマルからサーマルへの移動では20〜30%程度アクセルを踏んだ方が効率がよいように感じます。アクセルを踏まなくても時速30卍度の対気速度は出ているし、滑空比もよいので特段踏まなくてもよいのですが、少しアクセルを踏んだ方が滑空比を落とさずスピーディーに移動できます。一度アクセル50%程度使っている最中に、片翼を50%ほどつぶされましたが、機敏に旋回に入る傾向もなく穏やかに回復できました。


ブレークコードのフィーリングは低速もよくきき、ランディングアプローチも比較的楽に感じます。ION4やMENTOR4の場合、滑空比がよくサーマルに乗るとどんどん前に出ていくので、斜面のランディングに正確にランディングするのは難しく感じます。EDEN6はそれらに比べると滑空比はあるものの、低速でのコントロールが容易に感じました。


どんなパラグライダーのパイロットに向いているか


EDEN6はMAC PARAではハイエンドBクラスのパラグライダーとコメントしていますが、NOVAのION4やOZONEのRUSH4のような低アスペクトでも高性能を出すという極端なほどの先進性は感じません。どちらかというと乗っているフィーリングもクラシックで懐かしいん感じを覚えます。おそらくOZONEのR11がでた2011年ごろから、パラグライダーの翼断面形は驚くほど進化し、低アスペクトでも高い滑空比を実現するようになりました。


MAC PARAはそういった意味では、少し慎重にこの高性能化の流れに対して既存のパラグライダーフィーリングを残しつつ歩んでいるように感じます。EDEN6はBクラスの中でも高性能過ぎない安心感を求める人やパイロットの方でCクラスからの安心感アップを求める人にお勧めできます。また、3機目程度でステップアップする方にもお勧めできると思いますが、ION4などに比べるとアスペクトが高いので、立ち上げのトレーニングはしっかりしておく必要があります。


全体としてみるとEDEN6はEN-Bクラスとしては、アスペクト比の高いほうですが、フィーリングとしては安心感が高く、乗りやすいグライダーといえます。特にスピードが速くなりすぎず、低速がききやすいという点で、アスペクトが高い割に乗りやすいパラグライダーといえます。


岩村インプレッション:NOVA「ION 4」

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低アスペクト・EN-B で 300km 飛行するパラグライダーの革新


2016年3月17日、グランボで NOVA がリリースした新 EN-B クラスのパラグライダー、ION4のMサイズに試乗させていただきましたので、試乗レポートをします!


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ION4の構造・スペックなど


今回試乗させていただいたのは、ION4のMサイズ。装備重量が90〜110圓箸覆辰討い泙后4簑爾詫臑僚75圓曚匹任鬟櫂奪疋蓮璽優垢離┘爛轡薀ぅ肇蓮璽優垢鮖藩僂靴燭里如∩備重量は95堋度となります。
ION4は2014年に発表されたION3の後継機になるEN-Bクラスのグライダーです。ION3も当時としては画期的なこの低アスペクトでこの高性能という革新的なパラグライダーでした。ION4のION3とほぼ変わらないアスペクトで実測5.14、投影3.44となっています。見た目の印象としては、ION4の方が少しシャープになった感じがします。

ION4にはION3と同じくスマートセルやエアスクープといった、パラグライダーの最新技術が盛り込まれており、ブラジルで346劼糧行記録を打ち立てたという高性能ぶりはもはやIONシリーズとは思えないほどの高性能を感じさせます。

ION4を実際に広げてみると、完全な3列ラインでありライン本数の少なさに驚きを覚えます。かつてこの程度の低アスペクトでは、4列ラインや変形3列ラインが常識でした。NOVAはION3の時点から完全な低アスペクト3列ラインを実現してきました。


ION4の試乗フィーリング


ION4の試乗フィーリングは、アスペクトが低い割に滑空性能も高く、旋回の際の沈下率も小さいという印象を受けました。特にION3に比べると、旋回のブレークプレッシャーが軽く、サーマルに対してもピッチアップすることがなく、むしろサーマルにあたったときにパラグライダーが前に走ってサーマルコアに食い込んでいこうとする動きを感じます。この傾向は扇沢さんも言われていましたが、メンター4のように翼断面形がサーマルに対して前進していく傾向と考えられます。このため、ION4はサーマルのコアをとらえることがたやすく、ピッチアップでサーマルからはじかれることも少なく、いち早く上昇していくことができます。


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ION4でもう一つ特徴的なのは翼端の部分が大きく内側に絞りこまれるようにアーチを描いていることです。スパンテープのテンションもきいているため、立ち上げたときにやや翼端が変形気味にみえることがあります。この形状はサーマルでの旋回性に役立っているのではないかと思われますが、前述のようにサーマルでは前に走るように翼が進み、なおかつバンクがかかりすぎるということもありません。ロールとヨーイングのバランスがよいというか、過度にバンクがかかって沈下することなく、ヨーイングを起こしてくれます。サーマルで前に進む傾向のため、ある程度アウトブレークでピッチコントロールする必要がありますが、これももはやステップアップのパラグライダーというより、ハイエンドBクラスの動きのように感じられます。


前作のION3はハイエンドBではなく、ロークラスBかステップアップのためのグライダーという感じでした。しかしそれでも、この低アスペクトとしては画期的なソアリング性能を備えていました。NOVAはエアスクープなどの翼断面形状の技術革新によって、さらに高い性能を実現できるようになったと考えられます。今回のION4 ではさらに一段性能が進化し、ハイエンドBクラスに昇格してきた感じです


実際にブラジルでは早速300勸幣紊竜離飛行を達成するなど、MENTOR3よりも性能が高いといわれるほどの滑空性能を証明しています。NOVAのラインナップを見ると初級機はSUSIから始まり、PRION3、ION3 、MENTOR4、TRITON2と来ていましたが、ここにION4が入ることにより、MENTOR4の性能に迫る勢いで、PRION3とION4の性能差は少し大きいのではないかと感じます。将来的にはPRION3とION4の間のクラスも開発されていくのかもしれません。ヨーロッパメーカーは最近特にこの低アスペクトで高性能を実現し、A、Bクラスを充実させてきています。


ほかのパラグライダーメーカーでいえば、アドバンスのIOTA、GINのATLAS、OZONEのRUSH4などがこのクラスにあたります。ION4はこれらの中でも際立って低アスペクトで高性能を実現していると思われます。高アスペクトよりも低アスペクトが優れている理由は、立ち上げ、つぶれからの回復などのコントロール性が優れていること、中でもクラバットなどの厄介なマヌーバーからの回復性が高くなることがメリットとして挙げられます。


どんなパイロットに向いているか?


ION4はION3よりも明らかに一段性能が上がっている感じです。ION4は300勸幣紊竜離飛行を達成したように、NOVA社もMENTOR3よりも性能が上がっていると発表しています。NOVAのラインナップからすると、SUSI、PRION3、ION3だったものが、ION4に代わるわけですが、PRION3からのステップアップとしては、少しステップが高いように感じます。3機目程度でのステップアップは少し慎重になった方がよいかもしれません。アスペクトが低いので、立ち上げは難しくありませんが、ランディングアプローチはやや難易度が高く感じます。


逆にパイロットの方でこれまでハイエンドBクラスのパラグライダーに乗っていた方など、扱いやすくクロカンにも出られるほどの性能を確保したい方にはちょうどよいといえます。ION4は特にアクセルを踏んだ時の加速性能、滑空比の低下が大きくないので、感触としては、少し前のコンペグライダー程度の滑空性能は出ていると感じました。パイロットの方で、MENTOR3などハイエンドBのパラグライダーに乗っていて、MENTOR4ほどの高性能を求めない方、そこそこの性能で扱いやすさ、クラバットしにくい安心感を求める方には最適なパラグライダーだと思いました。



岩村インプレッション:OZONE 「LM5」

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競技志向の方へ。
注目のOZONE LM5、岩村インプレションです。

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(OZONE LM5とは)

 OZONE社のLM5は2013年のX-ALPS競技会に合わせて開発された、M4の後継機となるEN-Dクラスの軽量グライダーです。LM5 はLIGHT MANTRA5の意味で、MANTRAシリーズは2005年のMANTRA1から始まり、MANTRA2、MANTRA3とおおむねDHV2-3またはEN-Dクラスのグライダーとして進化してきました。2011年のMANTRA4からは軽量バージョンのLM4も併せて発表され、OZONEはアルピナやスイフトなど中級クラスにも軽量グライダーを発表し、開発力の高さを見せつけていました。

 OZONE社は2009年にコンペグライダーのBBHPPを発表し、リーディングエッジをバテンで翼型を成形し、ライン本数を減らした2列、3列の高性能グライダーで世界のパラグライダーシーンをリードするようになりました。この技術はオートマチックノーズと呼ばれる、Aラインの取り付け位置を後退させることによって、独特のピッチ安定効果をもたらすようになりました。

 OZONEはこの技術を進化させて、コンペグライダーではR10、R11、R12と高性能な2列ライングライダーを開発し、その下のシリアルコンペクラスではENZOでやはり2列ラインでEN-Dクラスのアスペクト7.55でコンペシーンを席巻しています。LM5はその下のクラスでアスペクト6.9ですが、2013年夏のX-ALPS大会に合わせて発表され、クリスチャン・マウラーなどLM5を駆る選手たちが上位を独占したことによって、LM5の性能の高さ、クロスカントリーでの優位性が証明されました。2013年冬には、その後継機となるMANTRA6がすでに発表されました。OZONE社の開発ペースの速さには驚くばかりです。

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    SKYWALK CHILI3のナイロンバテン
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    OZONE ALPINA2のドルフィンノーズ



(オートマチックノーズとは)

 OZONEのBBHPP以来、パラグライダー業界ではリーディングエッジにカーボンやナイロンのバテンを入れて前縁を丸く成形する方法が確立されました。これによって、マイラーフィルムなどによって成形していた前縁の半円形を、ナイロンバテンによってより精密に成形できるようになり、失速特性や立ち上がりの良さを実現できるようになりました。

 それとともに、Aラインの取り付け位置を後退させることによって、オートマチックノーズと呼ばれる、ピッチ安定の高い翼型を手に入れました。オートマチックノーズとは、デザイナーのミハエル・ネスラーなどによって提唱されているもので、迎え角の自動安定効果があります。迎え角が上がった時はAラインの取り付け位置に対して、ノーズが前下がりになる形で迎え角を下げる効果が働きます。逆に迎え角が下がったときは、Aラインの取り付け位置に対して、前縁が上がる形で迎え角を上げる効果が得られます。これによって、オートマチックノーズのグライダーはライン本数を少なくしても、より高いピッチ安定を保てると考えられます。

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    OZONE LM5:実測アスペクト6.9 
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    LM5のライザー部分



(LM5の試乗レポート)

LM5を実際に広げてみると、重量3.5圓箸いΔ修侶擇気砲泙唆辰されます。アスペクト比は、実測6.9で投影5.1というハイアスペクトながら、この軽さとリーディングエッジのシャークノーズと言われる段差のあるエアインテークが特徴的です。ライザーの作りもあくまで軽量化を目指しているらしく、軽量バージョンは細いダイニーマ素材のテープにラピッドリンクもほとんど使わず、代わりにコネクトというダイニーマのテープが使われています。サスペンションラインもほぼすべて、ケブラーのコンペティションラインで、軽く空気抵抗を減らすことに専念しているといえます。

ライザーシステムは3列ラインで翼端と翼中央で別々に迎え角を変化させるアクセルシステムが装備されています。ラピッドリンクに慣れた私には、ケブラーとダイニーマ素材が摩擦しあうことで、消耗する可能性はないのかと少し不安を覚えますが、そのあたりは考慮してラインに被覆をつけたりしているようです。

シャークノーズと言われる段差のあるリーディングエッジは、やはりOZONE社によって開発されたもので、迎え角が大きいときも小さい時もより翼のピッチ安定を保ち、ラム圧を保つ役割をはたすと説明されています。この技術は2011年のR11のころから使われ始めた技術で、GIN社のドルフィンノーズと似通った技術ですが、LM5のシャークノーズは特にエアインテークの面積を小さくし、空気抵抗の低減に役立っていると考えられます。

LM5の立ち上げは、重量3.5圓侶變眠修鯣娠任靴討箸討盞擇のち上がりです。軽すぎて手ごたえがないと感じるほどですが、頭上安定は非常にイージーで、翼が前に行く感じでも、後ろに行く感じでもなく、EN-Dクラスとは思えないほどの安定感です。EN-CクラスのDELTA2はやや頭上でピッチが落ち着かない感じですが、このLM5やアルピナ2は頭上安定がとてもイージーにできています。このあたりは、軽量素材のもたらす効果かもしれません。

頭上安定から加速に入っていくと段階でもLM5は非常にスムーズで、軽量素材のためかピッチ安定が高く、ここでもイージーなテイクオフ特性といえます。風が弱い時や、サーマルに影響されているときは、グライダーが前に引っ張るような動きをする時がありましたが、このあたりはX-ALPSらしいというか、サーマルに向かって前進していくような特性を感じます。しかし、全体としてはクリスチャン・マウラーも言及している通り、狭い場所でもテイクオフ、ランディングできるように、Dクラスとしては非常にイージーな特性と言えます。

ランディングアプローチは滑空性能が高く、スピードに乗りやすいグライダーほど伸びやすくなり、難しくなります。LM5は滑空性能が高い割には、スピードコントロールが容易で、低速もきかせやすいので、この点でも非常にイージーです。比較で言えば、デルタ2やアルピナ2のCクラスに近いくらいのイージーさと言えます。2列ラインのR10やブーメラン9などは揺れた後の安定に時間がかかり、ファイナルアプローチにかなり直線飛行を長くとる必要がでてきますが、LM5は揺らした後の安定も速いので、細かい調整がしやすくなっています。

LM5でのフライトフィーリングは非常に安心感があり、翼の重量が軽いためかあまり手ごたえは感じないのですが、サーマルでの浮きもよく、前進スピードは少し速く感じます。旋回のフィーリングもブレークの操作に直線的に反応するのでとてもイージーですが、そこはDクラスだけあって深く操作すればスムーズに深いバンクに移行していきます。ENの認証テストでもLM5はほとんどすべての項目がAやBの評価となっていますが、スパイラルの項目は自発的な回復傾向がないということでDの評価になっています。逆に言えば浅いバンクから深いバンクまで自由に入れやすく、パイロットが長い時間クロスカントリーフライトをするのに適した特性ともいえます。

軽量ライザーのアクセルシステムは細いダイニーマ素材のライザーが直接プーリーを通過するようになっていて、軽い力でアクセルが踏めるようになっています。アクセルは非常に効果的で、沈下も少なくスピードアップすることができます。アクセルを踏んでも、ピッチが不安定になったり前縁がつぶれそうになることもなく、このあたりはクロスカントリーで激しい気流を飛ぶ際にも有利な安定性と言えます。
LM5で片翼つぶしを試してみましたが、反応は非常に穏やかでした。Cクラスのデルタ2も似たような反応を示しますが、翼端の1割ほどがリオープンのショックを吸収するためか、ゆっくりとリオープンします。3割程度つぶしても、翼が不安定になることもなくこの点でもアルプスの激しい気流を飛ぶうえで有利な特徴をもっています。
 
(LM5の試乗のまとめ)

LM5は王者クリスチャン・マウラーがアドバンスからOZONEに移籍して、X−ALPSに出場するために開発して連続優勝を果たしたグライダーだけに、OZONEのこれまでのノウハウにマウラーの才能が結合したグライダーと言えるでしょう。OZONEのこれまでのグライダー、例えばM4に比べると非常に扱いやすく安心感のある高性能機という感じがします。

クリスチャン・マウラーはワールドカップのパイロンレースでも、表彰台を独占し、X-ALPSも3連覇。それに加えて、グライダーやハーネスの開発にも高い才能を示しています。クリスチャン・マウラーの考え方は大胆な飛び方をするときにも合理的な考えに裏打ちされています。

LM5はアルプスの激しい気流の中で、長時間クロスカントリーフライトをするために、高性能ながらも安心してフライトでき、狭い場所でも離着陸ができるという扱いやすさを兼ね備えています。そのうえで3.5圓箸いΨ變未篭辰べきスリムダウンをしています。前回2011年ののX-ALPSでOZONEはR11の2列ラインを使っていたことを考えると、マウラーとOZONEの開発チームでよいチームワークができ、よいグライダー開発ができていることの証明とも考えられます。

フライトした感じでいうと、LM5は軽量の中では最高の性能を持っていると同時に、非常に扱いやすいという意味では、Cクラスに匹敵する乗りやすさです。実際、LM5はENテストのほとんどすべての項目をAまたはBで通過しているところを見ると、OZONEはこのアスペクトでもCクラスやBクラスを作ることが可能なのだろうと思えます。現在LM5 の後継としてM6が発表されていますが、M6がLM5をどのように進化させたものなのか楽しみです。

岩村インプレッション:GIN 「CARRERA」

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注目のハイエンド EN-B クラス、GIN 「CARRERA」 。岩村インプレッションをお届けします。

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(GIN CARRERAとは)
 GIN社のCARRERA:カレラは、GINグライダーがEN-Bクラスのアトラスの上に位置するハイエンドEN-Bグライダーとしてリリースしました。GINグライダーはブーメラン9から翼型の設計を一新し、EPTシステムというラム圧を一定に保つ翼型を取り入れることによって、滑空性能と翼の安定性の両立を図っています。ブーメラン9が2013年の春にリリースされ、カレラは2013年初頭からEN-Cを目指して開発に入っていたようですが、ブーメラン9とは少し違う翼型を取り入れることで、抜群の滑空性能と飛行安定性を手に入れ、2013年秋にEN-Bでのリリースとなりました。

GIN ATLAS:実測アスペクト 5.21

GIN ATLAS:実測アスペクト 5.21

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GIN ブーメラン9:実測アスペクト 7.75



(GIN CARRELAの構造)
 カレラの構造を見ると、実測アスペクト6.2で投影アスペクト4.75とEN-Bクラスとは思えないほどの、アスペクト比に驚きます。リーディングエッジにはドルフィンノーズと呼ばれる段差のあるエアインテーク部が特徴的です。
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GIN カレラ:実測アスペクト 6.2


ラインはケブラーの被覆なしのコンペラインが大部分で、この点でもEN-Bの中級グライダーというよりは、クロスカントリーなどを目指したソアリングマシーンという感じがします。
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GIN カレラのライザー


 ラインの配列は基本的には3列ラインになっており、Cラインがライン取り付け位置で少し前後に枝分かれしているものの、ほとんど純然とした3列の配置です。これらを見ても同じEN-Bクラスのアトラスよりも、実測アスペクト比6.99で設計されたブーメランX-ALPSに似ていると考えられます。GIN社のテストパイロットである扇澤さんのお話では、カレラの開発段階で使われた翼型の性能が良く、それを応用して作られたのがブーメランX-ALPSだということで、やはりよく似ているようです。

(CARRERAのテストレポート)
 カレラを広げてみると、生地がしっかりしていてずっしりと重めの翼という感触です。これは、同じEN-BのハイエンドクラスでもNOVAのメンター3やグラディエントのネバダの軽い感じとは、少し異なる感じです。 今回試乗したカレラはMサイズで85〜105圓料備重量の中で、98堋度で試乗しました。
 カレラの立ち上げは、アスペクトがありグライダー重量もあるので、わりとずっしりと手ごたえがあります。特にライザーシステムがやや複雑で、Aライザーのテンションを感じにくいので、ライザーの持ち方は少し注意が必要です。形状形成から立ち上がり始めると、アスペクトが大きい割にはスムーズにグライダーが立ち上がり、頭上安定から傾きの修正も比較的容易にできます。

 テイクオフのフィーリングは特に加速する感じでもなく、かといってBクラスにありがちな頭上より後ろに停滞するような感じでもありません。設計者のジン・セクソン氏もインタビューの中でしきりに、グライダーがパイロットと一緒に動いてくれるといっていましたが、ピッチ安定が抜群で特にピッチアップやピッチダウンすることなく、スムーズにグライダーが加速からテイクオフに入ってくれる感じです。
 カレラのフライトは、これだけのアスペクトで浮きが良くコントロール性もよい割には、扱いやすく穏やかなグライダーという感じでした。アスペクトの大きい高性能機は、旋回や立ち上げが難しくなる傾向がありますが、カレラは立ち上げが少し重めに感じるくらいで、ほかの挙動はBクラスらしくとても穏やかに感じます。旋回はスムーズで減速する感じも加速する感じもあまりなく、この点でもBクラスらしい扱いやすさを持っているといえます。

テストパイロットの扇澤さんも言及されていますが、カレラはコラップスの反応は非常に穏やかです。片翼をつぶしても、旋回に入る挙動もゆっくりで回復も最近のグライダーにありがちな反動を伴うこともなく、翼端がゆっくりと回復する形で大きな反動もなく回復します。

 高性能なグライダーの課題となるのは、ランディングですがカレラの場合は滑空比が高い割に低速をきかせることができ、スピードがのっていく感じあまりないので、比較的容易にアプローチできます。この点でもCクラスのアスペン4などにくらべると、アクセスしやすい乗り味にできています。

(CARRERA試乗のまとめ)
 カレラはアスペクトや滑空性能で見ると、明らかに今までのBクラスとは一線を画しており、滑空性能はほぼCクラスと考えた方がよさそうです。逆にCクラスとしてみれば、グラディエントのアスペン4やNIVIUKのARTIK3、OZONEのDELTA2などに比べても、同等レベルの滑空性能を持ちながら、扱いの簡単さという部分ではカレラの方が優れていると思います。グラディエントのアスペン4などは特に3列ラインになったためか、ピッチ安定のリズムが独特になり、ある程度スピードをつけて乗らないと、滑空性能を引き出しにくいように感じます。

 カレラはこのような点ではとてもオートマチックで乗りやすいグライダーと言えます。ピッチ安定が適切で、加速しすぎたり、減速しすぎることがないように感じます。これはグライダーコントロールには有利な安定性で、Bクラスらしい乗りやすさと言えます。アスペクトのある高性能機は旋回の加速や減速によって、旋回が難しくなることがよくあるからです。

考えてみれば、OZONEのBBHPPから始まった前縁にバテンを入れて、ライン本数を減らす手法は、オートマチックノーズと呼ばれる独特のピッチ安定をもたらすようになりました。このオートマチックノーズはパラグライダー業界に革新をもたらし、それとともにどのようクラス分けにするかという試行錯誤をもたらすことになりました。

 GINのカレラはこの意味でも、オートマチックノーズのグライダーは今まで以上の安定性と操作性を与えるという証明であると思います。今回のカレラがBクラスに参入したことで、BクラスやCクラスにはまた新たな化学変化が起こってくると予想されます。ここからの業界の技術革新も楽しみです。

*GIN CARRRA 扇澤さんの動画はコチラ

岩村誠

Gin Boomerang9 岩村インプレッション

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b9_1GIN ブーメラン9のサイズMに4月12日と4月16日にグランボレでフライトしました。装備重量が95-115圓寮瀋蠅如∩漢備98圓らいで乗っていたと思います。装備重量からいうと軽めですですが、現在はMサイズがEN認証のDクラスにパスして販売されていますが、ほかのサイズはまだのようです。ブーメランには2,4,5,6と乗り続けているので、設計思想は理解しているつもりです。

(ブーメランの歴史)
<ブーメランは1998年に発表されたGINグライダー社の最初のグライダーで、EDEL社で設計をしていたジン・セクソン氏がコンペグライダーの流れを受け継いで、ブーメラン1,2,3とコンペシーンで人気のあるグライダーをデザインしていきました。アスペクト6.2ほどのブーメランの特長はサーマルでの浮きが良く、ハンドリングが感覚的にわかりやすい翼でした。これは、ジン氏がEDEL時代から続けてきた、設計思想といえます。

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ブーメラン1

ブーメランに革新が起こったのは2005年のブーメラン4からでしょう。当時、アーチ比率を高くしてハイアスペクトを実現する、ハイアーチコンセプトがアドバンス社のロベール・グラハム氏によって開発され、GINのブーメラン4はアスペクト6.9でやはりこの技術が投入されました。そして、ブーメラン5,6と3列ラインになりアスペクト7.4、ライン取り付けのテンションに対応するナイロンロッドを入れることで、高速化、高滑空比を実現していきました。

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ブーメラン4

その後、コンペシーンでは2009年にOZONE社のBBHPP(Baby High Performance Project)にはじまり、マントラR10、R11など2列ラインで7.55のハイアスペクトな高性能機が表彰台を独占するようになってきました。ブーメランは7,8はアスペクト8.0を実現しながらも、苦戦を強いられる時代になりました。しかし、2列ラインで性能競争が激化した結果、2列ラインを乗りこなせないことによる事故も相次ぎ、2011年から公式大会ではENテストの認証機のみとするルールとなり、ブーメランXは3列ラインにもどり、アスペクトも6.87と安全マージンを確保したものとなりました。

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Ozone マントラ
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ブーメラン7

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ブーメラン8

しかしOZONEのENZOがアスペクト7.55でEN認証のDクラスにパスすると、コンペシーンの流れは、ふたたびOZONE社の優勢になりました。ENZOはEN認証機でありながら、事実上の2列ラインでA、Bラインしかありません。コラップスが必要なEN認証をどうやって通過するのかというと、リーディングエッジにコラップス専用のラインを取り付けて、コラップスのテストを行うのです。このコラップスラインをどのように取り付けるか、ABの2列ラインとはいえ、上部に枝分かれしたラインをつけるなどして、EN認証を通過するグライダー設計が可能になったようです。

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Ozone ENZO

 ブーメラン9はこのような状況の中、2013年春にEN認証のDクラスを通過する形で、コンペグライダーとして発表されました。GINは長年、ジン・セクソン氏自身のアイデアでグライダーを設計してきましたが、今回は翼断面形状の設計をイギリス・オックスフォード大学のエイドリアン・トーマス氏などに委託しました。その結果、EPT(内圧最適化テクノロジー)と呼ばれる、断面形状の設計技術が誕生しました。この技術により、ブーメラン9はサーマルの中で迎え角が変化しても、内圧が変化しにくい断面形状を獲得しました。

ブーメラン9はPWCでも高性能を発揮し活躍し始めているところを見ると、OZONEの独占状態だったコンペシーンにGINが満を持して投入したグライダーと言えるでしょう。しかし、PWCなどの公式競技では2015年からアスペクト7以上のグライダーは参加できないことが決定し、ブーメラン9やENZOは2014年末まではその性能を発揮して、戦えるという条件が付くことになりました。今後は、競技会ではアスペクト7以下となるわけですが、ブーメラン9がどこまでその高性能を発揮するか楽しみです。

(ブーメラン9の試乗フィーリング)
 ブーメラン9を広げてみると、2列ラインに高いアスペクト、そして上下面に配置された長いナイロンロッドで、見るからに高性能を狙ったコンペグライダーという感じをうけます。岩村は最近までブーメラン6に乗っており、ブーメラン7、ブーメランXなどは見たことしかありませんが、これまでのブーメランに比べてドルフィンノーズと呼ばれるエアインテークの形状など明らかに違う感じがします。

立ち上げの際は、Aラインが翼端側2本と翼中央側2本に分かれているうちの、翼中央側2本のみを握るようにします。アスペクトが高く、ラインが2列しかないので、風が左右で乱れていたりして、片側からグライダーが上がり始めると、バランスをとるのが非常に難しくなります。テストパイロットの扇沢さんも言われていましたが、トリムのセッティングとしては迎え角を大き目にしている感じで、横風で立ち上げたりするとグライダーが前に走らず頭上の一歩手前で止まる感じになることがあります。あまりシューティングしない感じと言えます。また、風が乱れているときはかなり立ち上げにくくなります。

しかし、フライトを始めるとグライダーのフィーリングは一変します。グライダーがサーマルを受けた後の動きはこれまでのグライダーにはない、センセーションを感じます。グライダーがサーマルを受けてピッチアップし、そこからサーチの動きをしながら驚くほどの上昇エネルギーに変化していくのです。これは、GINがブーメラン4のころから繰り返し言及していた、サーマルをバイトする、サーマルの上昇エネルギーを大きくとらえる特性を実現しているといえますが、ブーメラン9の場合2列ラインの空気抵抗の少なさ、EPTシステムなどの浮きの良さがそれを増大させていると考えられます。このあたりは、オゾンにはない特性というべきで、オゾンはどちらかというとスピードと安定性重視でサーマルでの揺れが少なく、サーマルを突き抜けていくようなイメージです。

ブーメラン9のターン特性は、同じGINから発表されたBクラスのアトラスに似通ったものがあります。ハイアーチのためか、ブレーク操作だけでもロールがスムーズにかかり、希望のタイミングでロールインすることができます。もちろん、体重移動をしたほうが旋回がスムーズですし、ハイアスペクトなので体重移動を内側にいれておかないと、ラインのテンションが抜けそうになる場面もあります。サーマルの中で翼端は少し緩みがちですが、ブーメラン4によくあったような翼端がつぶれてクラバットをおこすことはほとんどありません。

サーマルの中での旋回は、前述のようにロールインがスムーズに入っていくので、バンクを維持するためのコントロールだけを注意しておけば、センタリングもスムーズに続いていきます。ただ、アスペクトが高いためか左右の翼が上昇率の違いでロールの揺れを起こすことがあります。体重移動を内側にいれておけば、はじかれたりピッチアップすることはほとんどありませんが、揺れが多少気になるかなと感じました。やはり、アスペクトが高く、翼の揚力が強いのでサーマルの乱れを拾ってしまうのかなという感触でした。

ブーメラン9でアクセルバーを踏むと、2本しかないライザーのうちAライザーの長さが変化し、高度をほとんど沈下させることなく前進速度が速くなってきます。滑空比があまり変化しないままに、スピードを出せる感じです。

降下手段は、翼端折りは翼をつぶすことはできるものの、内圧で翼が回復しようとするために、つぶしたまま維持はできない感じでした。スパイラルをして高度を落とすのが、降下手段ではもっとも有効だと感じました。

ランディングは浮が良い分、ランディングで伸びやすく、スピードが速い分、広い空域を使って高度処理し、ランディングで伸びすぎないようにアプローチをしっかりとる必要があります。ターンやスピードコントロールはしやすいのですが、やはりスピードがあって失速速度も速い分、高めに入ると処理が難しくなります。

結論として、ブーメラン9は非常に精密につくられた高性能機ですが、やはり競技用のグライダーであり、一般の方がフライトするにはかなり負荷の高いグライダーだと思います。以前のブーメラン5やブーメラン6などは競技用とはいえ、サンデーフライヤーでもさほど難しい技術は要求されませんでした。今回のブーメラン9は、翼のつぶれにくさなどはしっかりしているものの、テイクオフやランディングの難しさを考えると、決して気軽に飛べるグライダーとは言えません。どちらかというとセールプレーンのように最初から最後までしっかりしたフライトプランを立て、コンディションを最大限生かすことを考えながらフライトするソアリングマシーンだと感じました。

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岩村アングルからみたブーメラン9
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GIN Boomerang9 試乗レポート         
5月17日 岩村

NOVA SUSI 小林インプレッション

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どうしても、どうしても自分自信で確かめたかったNOVA SUSIをついに試乗するこ とができました。

はじめてのグライダーはこれからの空の印象を決定づける重要な 翼。ちゃんとテストをしてお客様にお勧めしたいものです。

まずは見た目です。届いたグライダーは明るい緑をベースに鮮やかな青、そしてアク セントカラーが白。僕はどちらかというと色などにはこだわらないのですが、このよ うな配色はさわやかな印象で、多くの人が好まれると思いました。

写真 (1)

さあ、ライズアップの印象は?その前に、持ち運び時に感じる重量が軽くなってい ることを感じました。あきらかな軽量化グライダーほどではないにしても、少し軽く なっています。広げたときには、特徴的なエアインテークが目につきます。マイラーな どはなく、リッジフォイルというか、エアインテークの形状をサポートするためのス ポイラーが入っています。このために、マイラーは削除され、少し軽量化したのかも しれません。

写真

ライズアップは、これは誇張ではなく、史上最高にやさしいグライダーです。早くな く、おそくなく、止まらずにあがってきて、頭上をシューティングする挙動がきわめ て穏やかで滑らかです。このライズアップは他のファーストグライダーとは明らかに異 なり、決定的に優しいグライダーだと感じました。

フライトを行ったときはサーマルコンディションでしたので、並みいるソアリング グライダーに仲間に入れてもらおうと、僕も積極的にソアリングを開始しました。春 の荒れたコンディションですので、おそらくこのグライダーに初めて乗る人は飛ばない コンディションです。susiはがんばってどんどんあがっていきます。

気づいたのは初級 機としてはトリムスピードの滑空比が悪くなく、サーマルをキャッチできれば十分に ソアリングもできることでした。意外に滑空比が良いのです。さすがにサーマル間の トランジットでは置いていかれてしまいましたが。

ランディングアプローチでもその操作の易しさが発揮されます。少しブレークを押 さえることで、確実に滑空比を落とすことができます。必要以上にブレークコードを 引き込まなくても対地速度を抑えることができて、ランディングアプローチに対する 安心感、信頼性を高いものにしていると思います。

susiははじめてパラグライダーに触れて、これから空を目指そうとする人にとっては とっても良いパートナーになってくれるハズです。



NOVA SUSI: EN-A
http://www.aerotact.co.jp/paraglider/nova/susi/index.shtml

ADVANCE PAI 小林インプレッション

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アドヴァンスは歴史のあるパラグライダーメーカーです。
ハイエンドのΩシリーズや、Σシリーズはグランボレでも代々、ベテランパイロットに愛されてきました。そんな老舗のグライダーメーカーがおそらくは本気で取り組んだハイクアップ専用のグライダー装備一試乗がが本当に楽しみです。

届いた装備のまず大きさに驚きます。
たとえるならば、35リットルの登山用ザックを一杯につめこん通常のグライダーザックとはまったく比較にならないコンパクトさ。これだけでもテンションがあがります。

写真 (2)
※右側が ADVANCE PAI を背負ったところ。テンションのあがるコンパクトさ!

アドバンスはスイスに本社があり、そこは、美し山と湖にかこまれた自然豊かな場所です。そんな環境でおそらくは実際に山を登り、飛んではまた山を登って作られたのではないでしょうか?

今回は試乗機はPAI 19 です。PAIは2サイズがラインナップされています。僕の装備重量ではメーカーではメーカー推奨の山岳レンジの範囲に入りますので、翼面荷重は通常の翼と異なり、かなり高めの設定になります。おそらく、大きい方のサイズ23をチョイスした場合は僕の装備重量は通常レンジに入り一般的な軽量グライダーのカテゴリーに入るのだろうと想像しています。

さてさて、それでは装備一式をもって山へ。
驚くべき軽さ。その重さわずか3キログラムちょっと。この装備にはパラグライダーのPAI、軽量山岳ハーネスエベレスト、パラシュートが付属しています。僕が普段通勤で使用しているバックパックにはだいたい愛用のマックブックが入って、さらに普段必要なものを持っていると約3キロ。ですから、普段しょっているバックパックとほぼ同じ重さ。衝撃的に軽い装備です。

ハーネスとパラシュートは山岳用にデザインされている、つまり徹底的に軽量化されているので、取り回しに難があります。つまり面倒なシステムです。ブライダルコード、パラシュートの固定ベルトなど、システムを理解できない人はほぼ装着できない作りです。このハーネスがリバーシブルになっており、パラグライダーザックと兼用になります。
写真
ザック(リバーシブルハーネス)のファスナーをあけると、グライダーがみえる。

写真 (1)
ザック(リバーシブルハーネス)を完全に開いて、グライダーを取り出したところ。

早速装着をすませて朝一番のサーマルをいただきましょう。フライトコンディションは北風が入り始める前の状態です。つまり、結構な荒れ模様。サーマルも朝から出ています。ライザーもほぼラインですね。太いライン。ウェビングベルトで作られていないライザーは徹底的に軽量化にこだわったためでしょう。このあたりも、このグライダーのターゲットが伺える作りです。

ライズアップは簡単です。エアインテークには、リッジフォイルが採用されています。それが、素早い空気の流入、小さな翼面積これが相まって、素早いライズアップが可能です。ただし、翼面積が小さいということは必要な揚力を生み出すために速度を必要とします。つまり体感だけでは、グライダーのライズアップがわかりにくく、確実な目視を必要とします。確実な目視のあとは、きちんと走らないと揚力の感覚がつかめません。早く走るというよりは確実に加速していく感覚です。飛行速度は速く、とても快適です。

前述の通り、ハードなコンディションですが、間違いなくサーマルソアリングできるグライダーです。高い翼面荷重のためにハンドリングの特性は少しピーキーです。あっという間にロールインして、旋回していきます。この操作には少しなれが必要だと思います。なのでセンタリングはやや気を使います。ややもするとグライダーが回りすぎてしまいます。

ランディングアプローチは、もともとの速度が速いので、すこし気を使う方がよいでしょう。それでもコントロールはしやすいので、それほど問題にはなりません。ブレークを押さえて飛ぶと速度が相殺されてしまうので、なるべく速度を維持してフレアーを行った方がいいです。

驚くべき軽量グライダーのPAIはハイクアップのために徹底的なこだわりをもって作られたグライダーだと感じました。とくにパッケージになっているハーネス、パラシュートの装備はむしろ山岳からのフライトを楽しむべき装備に思えます。その意味では、いわゆる軽量化に成功したグライダーというカテゴリではなく、こういうジャンルの新しいグライダーと言えるまったく新しいパラグライダーだといえるでしょう。

Niviuk Hook3 岩村インプレッション

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NIVUK  HOOK3のサイズ25に3月28日にグランボレで試乗しました。
装備重量が80〜10圓寮瀋蠅如∩漢備90圓らいで乗っていたと思います。

NIVUKは、前作のHOOK2やARTIK3に試乗してみた感じで、旋回性がとてもよかったのでHOOK3も旋回性の良さは期待できるかと考えていました。

試乗したのが朝一の9時半ごろだったので、まだ風は弱く南東の風2m程度でサーマルはまだ渋めでした。テイクオフしてみると、テイクオフそば近くにはサーマルが出ている感じで、テイクオフ前でリッジをとって少し粘っていると、小さいサーマルがでているのがわかりました。

斜面近くで小さい旋回を要求されるサーマルでしたが、HOOK3は難なくタイトな旋回をこなせる感じでした。タイトな旋回をすれば、当然バンクがかかって沈下が大きくなりますが、HOOK3はロールインしてバンクをかけたあとでも、アウトブレークなどで旋回の沈下をコントロールできるので、山際でも安心して旋回できました。

山から前にでて、ローリング、ピッチングなどを試してみました。ローリングもピッチングもコントロールしやすく、特にローリングは軽いブレーク感覚で素早くバンクがかかってきます。このクラスのほかのグライダー、ネバダやアトラスに比べると、かなり軽いハンドリングに感じます。

スピードや滑空性能としては、ややゆっくりめな感じでネバダのほうが少しスピードが速く感じますが、このクラスとしては上々の性能だと思います。

対象となるパイロットとしては、2機目のクラスを乗りこなして3機目のレベルになるかと思います。例として挙げれば、NOVAのルーキーやイオン、GINのボレロ4にのっている方はスムーズに乗り換えられると思います。

同じクラスのネバダなどに比べて、立ち上げやハンドリングの感じがわかりやすいので、乗り換えたときにも余裕をもって楽しめるかと思います。逆にすこしスピードを求めるかたは、アトラスやネバダをお勧めします。総括としては、乗りやすい3機目という感じですが、浮きや旋回性がよいので、ソアリングを楽しむには最適という感触でした。

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Niviuk Hook3 小林インプレッション

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NivukのHookも3代目です。

Hookシリーズはグランボレでも人気がありました。扱いやすい操作性とソアリングしやすい滑空性能のバランスが支持されている理由だと思います。そのHooKの最新モデルがHook3。

これは早速試乗しなければ!

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グライダーを広げてみると、NivukのコンペティショングライダーIcePeak を彷彿させるようなリッジフォイルが入っています。エアインテーク周りだけでなく、グライダーのアッパーサーフェースのだいたい50cmぐらいまでこのフォイルが入っています。おそらくは、リーディングエッジから始まる翼の形状を美しく保持する役割でしょう。

このような構造をもつパラグライダーは年々増えてきていますので、ある程度は予想できましたが、まさかこのクラス(EN-B)のグライダーでここまで徹底するというのが正直驚きです。

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アスペクトも少し大きくなって、より上のクラスを感じさせる印象です。一度風を入れて立ち上げのフォーリングをつかんだ後、早速フライトにチャレンジ。ライズアップは先代のHook同様難しさを感じさせません。これはNivukの特徴だと思いますが、他の同じクラスのグライダーに比較するとラインの構成がコンパクトでグライダーの動き、タイミングを掴みやすいからだと思います。

コンディションは安定したほとんど風のない状態。トリムスピードでぐんぐん飛んでいきます。さらにアクセルを使用すると気持ちよい加速を感じます。アクセルを踏んだときの速度の伸びの感覚はとてもEN-Bクラスだとは思えないほどで、ちょっと驚きです。

旋回の特性はとてもやさしく、少ないストロークでも、やや入り気味の旋回をします。ライン構成のせいか、非常にバンクがかけやすく、旋回中の速度コントロールもこのクラスでは優しい方だと思います。

先代のHook2に比べると、一つ上のクラスのグライダーに乗っているようです。それは、滑空性能も操作の感覚もです。操作の感覚はよりダイレクトな操作の感覚とそれに呼応するグライダーの反応が増しています。

できればソアリングコンディションで飛んでみたかった!単純なアップグレードではなく、大幅なモデルチェンジ!そう表現すべきだと思います。シリーズこそHookでつづいているものの、もしHook2のオーナーが乗ったとしても満足できるようなグライダーになっていると思いますよ!



Niviuk Hook3:EN-B クラス

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